【豊田昌継の甘辛テレビ】
■数字は語る “アマノミクス”!?
NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」が好調…ってあちこちで報じられていますね。舞台となっている岩手県久慈市周辺の方言「じぇじぇじぇ!」、さしずめ「えっ!」「げっ!」といった驚きの意味でしょうが、登場人物がやたら発するのが、新鮮で面白いのだとか。
その久慈市は現在、観光客で大にぎわいだそうで何より。来月には東京で、行進曲のようなオープニングテーマを作ったアーティストの大友良英さんが「あまちゃんオリジナル・サウンドトラック」発売記念のライブを行うとか。こういうのを“アマノミクス”と呼ぶんですってね。
視聴率も20%超えが相次ぎ、週間ベスト10の上位を独占していますし、NHKが出す4月の「視聴者対応月次報告」によると、オンデマンド(有料番組配信サービス)で上位20番組中なんと17番組が「あまちゃん」だったそうです。
視聴者センターに寄せられた「好評」と「厳しい」意見の数が「337:462」。一見、「なんだ評判が悪いのではないか」と思わせますが、放送局に限らず新聞社でも、意見を寄せくださるのは、厳しい内容が多いもの。今回も、能年玲奈さん演じるヒロイン・アキの父親が使っているタクシーが韓国車とは日本の公共放送としていかがなものか−というシビアなご指摘もあったそうです。
しかし、この数字は平成22年以降の6作品と比べてみると、「ゲゲゲの女房」に次いで、「好評」意見の割合が高いのです。前回の「純と愛」をみると「198:2032」。今回の数字の意味が分かりますよね。
■「サラッ」と「コテッ」
さて、前置きはこれぐらいにして。実はこの話、関西地区は様相が全く異なるんです。というのも、関西の視聴率が関東などに比べて4〜5ポイントも低く、週間ベスト10にはほとんど顔を出していないんですよ。
直近の第9週(5月27日〜6月1日)「おらの大失恋」、アキが寒空の海に飛び込んだあの週で、平均4・2ポイント差(最大は関東21・6%=関西15・9%、5・7ポイント差)。これでも「じぇじぇじぇ効果」というべきか、マシになった方。スタート間もない第3週(4月15〜20日)では最大8・0ポイント差、平均でも6・3ポイント差だったんですから。
関西地区を束ねるNHK大阪の幹部も首をかしげますよね。NHKの番組が関東に比べて関西が2〜3ポイント低いのは前にもお話ししましたが、過去の朝ドラもだいたいその範囲内に収まっていました。こんなに差がつくのは「まず初めて」だそうです。
その理由ですが、「舞台が東北で(関西から)離れているからではないか」など当たり障りのないことしか出てきません(仮に分析できても、“身内”は言いませんわね)。大方のテレビ業界関係者が言葉を濁す(というか、やっぱり見てないんですよ)という中で、数々のドラマ制作経験をもつ元民放プロデューサーははっきり言ってくれました。
「(脚本担当の)クドカン(宮藤官九郎さん)でしょ。挿入音楽など彼の細かいセンスはすごいけど、ああいうサラッとした笑いというかコメディーは『関西向きかどうか』と言われればそうやないもんね。関西はもうちょっと濃いものを求めるから」
個人的にはこの意見に乗りたいですね。彼は宮城県出身だし、テレビ出世作の1つ「タイガー&ドラゴン」は落語でも“江戸前”がモデル。“よしもとDNA”が埋め込まれた関西人にはこういうコメディーは肌合いが違うというか、それこそ“あまちゃん”に映るのでは…というのをひとまずの結論とします。とか何とか言いながら、よそで話題になるとすぐに飛びつくのも関西人ですけどね…。(視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ)
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