中村誠さん死去:盛岡出身でグラフィックデザイナー、9月に追悼展 /岩手
毎日新聞 2013年06月08日 地方版
盛岡市出身のグラフィックデザイナー、中村誠さん(享年87)が2日に亡くなっていたことが分かり、県内でも惜しむ声が相次いでいる。盛岡市は作品約200点の寄贈を受けており、9月から追悼展を開いて故人をしのぶ。
中村さんは盛岡市肴町の商家の生まれ。戦時中に盛岡商業高校を卒業し、東京美術学校(現・東京芸大)に進学。1949年に資生堂に入社し、アートディレクターとして女優の前田美波里さん、モデルの山口小夜子さんを起用した斬新なポスターを手がけた。
中村さんは生前、作品約200点を市に寄贈し、市勢振興特別功労者にも選ばれた。2009年に市制120周年記念のポスター2種を監修するなど、地元と交流が盛んだった。30年前から親交がある印刷会社「岩手デザインセンター」の長瀬慎介社長(66)は「盛岡の講演会にも来てくれて、スライドを見せながら一流の手法を地方のデザイナーに教えてくれた。一流の方なのに、面倒見の良い人だった」と振り返る。
追悼展は9月25日〜11月24日、盛岡市愛宕町の中央公民館で。市は当初、米寿を記念した作品展を計画していたが、悲報を受け、急きょ追悼展に切り替えた。企画に携わる元市ブランド推進課長の坂田裕一さん(60)は「中村さんは生前、雪や岩手山がある盛岡が原点と言っていた。資生堂時代はもちろん、地元盛岡のポスターも展示したい」と話した。【安藤いく子】