地理情報で自治体の悩みの解決を6月10日 18時45分
道路の図面や避難所の位置など自治体が持つさまざまな地理情報のデータを公開することで、行政が抱える課題の解決や新しいビジネスの創出につなげていこうという取り組みが始まることになり、10日、東京大学生産技術研究所でシンポジウムが開かれました。
地理情報を利用して行政の悩みを解決
この取り組みは「アーバンデータチャレンジ東京2013」と呼ばれ、東京大学空間情報科学研究センターと行政データの利用促進などを進めている社会基盤情報流通推進協議会が主催して行います。
地理情報とは、さまざまなデータを位置情報を使って地図上に表示するもので、自治体の多くは、道路や都市計画の図面、消火栓や避難場所の位置などの地理情報を保管しています。
「アーバンデータチャレンジ東京2013」では、自治体が持つこうした地理情報のデータを外部に提供することで、民間の企業や開発者からさまざまなアイデアを出してもらい、行政が抱える課題の解決や新しいビジネスの創出につなげることにしています。
自治体からはさまざまな要望や意見
10日に開かれたシンポジウムには自治体や企業の関係者など160人余りが参加し、自治体が抱えている課題などが紹介されました。
自治体関係者からは、工場跡地の再開発計画やお年寄りの見守り活動などについて、地理情報を使うことで適格にニーズを把握して迅速な対応につなげたいといった要望が出た一方で、自治体が持つ地理情報は利用目的が決められておりすぐに提供することは難しいとか、個人情報に関わるデータもありどこまで提供してよいのか分からないなどという意見も出ていました。
地理情報を活用した取り組みとは
自治体の地理情報を外部に提供する取り組みは、すでにいくつかの自治体で始まっています。
東京・豊島区では、警視庁が提供している交通事故の発生場所と地域の住民が日頃の生活のなかで危険だと感じた場所の地理情報を、地図上に重ね合わせて表示する「交通安全きづきマップ」を作成してホームページで公開しています。さまざまなデータを地図上にまとめて公開することで、より直感的に分かりやすく住民に伝えることができ、安心・安全な街作りの推進に役立っているということです。
また、千葉県流山市では、大雨や洪水などの浸水予想地域や大地震の際に予想される地域ごとの揺れの大きさなどの地理情報を公開して、住民自身が調べた地元の危険な場所などの情報と重ね合わせることで、地域ごとにきめの細かい防災地図をつくる取り組みを進めています。
データ公開のメリットを感じて欲しい
東京大学生産技術研究所の関本義秀准教授は「多くの自治体では、データを提供することにまだ抵抗感もあるかもしれないが、こうした懸念に対するサポートも行うことで、データを公開することのメリットを肌で感じてもらいたい」と話しています。
「アーバンデータチャレンジ東京2013」では、ことし10月ごろまでに自治体から提供される地理情報や、こうしたデータによって解決したい行政上の課題などを整理したうえで、民間の企業や開発者からアイデアを募集し、来年3月ごろには結果を発表することにしています。
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