JVCケンウッド(横浜市)が、完全子会社の長野ケンウッド(伊那市西箕輪)のカーナビ開発などのほぼ全機能を東京都八王子市にあるグループ事業所に移転させ、県内から事実上撤退することが10日分かった。同日開いた労使協議で、全従業員約120人を6月末からこの事業所へ順次異動させることで合意。駒ケ根市で1946(昭和21)年に設立された春日無線電機商会をルーツとする「ケンウッド」の生産開発拠点が県内から消えることになる。
長野ケンウッドの生産開発設備などをJVCケンウッド八王子事業所に移転する方針で、同社は「グループ内のカーエレクトロニクス事業について、今後の成長戦略を考えた上で、機能を八王子に集約すると決めた」(広報IR担当)と説明。従業員は「全員の雇用を確保した上で、八王子事業所で再配置する」とし、早期退職の募集はしない。
長野ケンウッドの工場や敷地については「工場は倉庫にし、製品を検査するためのテストコースはそのまま活用を検討する」(同)としている。長野ケンウッドの存続については未定。
JVCケンウッドによると、長野ケンウッドは90年6月設立。グループ内で、自動車メーカー向けのOEM(相手先ブランドによる生産)製品の開発などを担っている。
ただ、世界経済の悪化や国内での競争激化などで、グループ内のカーエレクトロニクス事業の2013年3月期売上高は前期比6・3%減の1005億4800万円と苦戦していた。