【有能だが辞めてもらった理由】
会社経営 辻 豊 (大阪市中央区 39歳)
私は数十人の社員を雇う、しがない経営者だが、この激動の時代、我々凡人は今、何をすべきか
常に考えているつもりだ。
「やる気と向上心は誰にも負けません!」と好印象の30代男性を採用。
有能だった。が、ある日の夕方、満員電車での姿を見て社長室に呼んだ。
「漫画本を終業後に読んで悪いんですか」と、彼は最後まで言った。
試用社員のうちに辞めてもらった。
会社員は終業後は自由時間だ。
何をやってもいい。
襟の社員章を外さず、性描写ばかり載った漫画本を大口を開けて読むのも、また個人の自由である。
しかし、そんな人間を正社員に昇格させない自由も、こちらにはある。
多くの人が通勤には長時間を要し、疲れる。
ならば、せめて居眠りをしたらどうか。
働き盛りの男性たちよ、もう少しは現状への危機感と未来への展望に思いをはせてみてはいかがか。
携帯メールと漫画本読みと無駄なおしゃべりの働き盛り世代が、あまりに多くないだろうか?
君たちは、茶髪のコギャルなのか?
(毎日新聞 2004年1月21日 西部本社版)
/*漫画を電車の中で読んだだけでクビですか?
間違いなく、「解雇権の濫用法理」に触れますね。
それはそれとして、この会社員が何の漫画本(雑誌?)を読んでいたかが気になります。
満員電車の中であることと、この投稿者は表紙しか見ずに性描写ばかりの漫画だと考えたことから、ヤンマガかヤンジャンあたりだと思うのですが、どうでしょう?
それなら社員の反論である「漫画本を終業後に読んで悪いんですか」という主張とも合致するかと思います。
もし、ここで彼が読んでいた漫画本が、フラ○ス書院のものだったり、ペンギンク○ブだったりしたら、解雇したい気持ちも理解できますが・・・
しかし、本気のエロ本であった場合、社員の反論がおかしいんですよね。
確かに漫画ではありますが、読んでいる本人は漫画だという認識よりもエロ本という認識の方が強いと思うんですよ。
まぁ、これで18歳未満は読めないガチのエロ本を堂々と満員電車で読めるような剛の者なら、それはそれで価値があるかもしれないですけどね。
全くのバカか自分を貫き通せる異端かのどちらかです。
しかし、39歳でこの考えの古さはなんなんでしょうね。
今やメールで経済誌が読め、漫画なども流行を調べる一つのツールと化している現代において、こんな排他的な考えでは経営者として生き残ってはいけないでしょうに。
そもそも、社員の就業外での行動を一々チェックする時点で終わっています。
基本的に社章を付けていようと、犯罪行為などといった著しく会社の名誉を損なわせる行動を取らない限り、個人の行動に口を出す権利などないはずです。
確かに満員電車で漫画を読む行為は、社会人として見栄えの良いものではないですが、だからといって解雇して良い理由にはなりません。
もし、漫画本で解雇ならば、社章をつけた状態で居酒屋に寄って泥酔しても解雇の理由になりますし、社章を付けて風俗に行くなど論外となってしまいます。
結局は社長の価値観に社員どもは合わせろ!ということなのでしょう。
だいたい、満員電車で寝ろ!と言われても、座席を確保しないことにはそれも無理ですし。