あべのハルカス:消費の低迷打破目指す仕掛け 近鉄本店
毎日新聞 2013年06月11日 07時00分
キタ、ミナミに続く大阪第3の商業地・アベノに13日開業する「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市阿倍野区)には、従来の百貨店には見られない仕掛けがある。「ブランドの販売員が寄ってきて売りつけられそう」という百貨店を敬遠する声を受け、「コンシェルジュ」(世話係)がブランドの壁を越え消費者にぴったりの商品を示したり、生活を豊かにする商品やサービスを提供することで、消費低迷の打破を目指す。円安・株高が一服し、先行き不安もささやかれる安倍晋三首相の経済政策・アベノミクスに大阪から再点火できるだろうか。
◇生活を豊かに
日本を代表する工業デザイナー、喜多俊之さんがデザイン、選択した日用品1000点を集めた売り場が9階に登場する「暮らしのデザインKITAS」。日本とイタリアを舞台に、電気製品やロボット、家具などをデザインしてきた喜多氏がプロデュース。和のテイストあふれる漆器や陶磁器、シャープなデザインの調理器具などが展示・販売されている。喜多氏は「もうちょっとステキに暮らそう」と呼びかけ、「友人を招き、自宅を“サロン”にする小道具を多くの方が購入すれば、日本のもの作りも活性化。中小企業の需要が増し、経済も元気になる」と強調。生活に潤いや豊かさを求めることが、ワーク・ライフ・バランスや中小企業の需要増を通じて、景気回復をもたらすとの考えを示した。月1回のトークショーで、暮らしを豊かにするデザインの力を訴えるという。
◇「似合う」を提案
注目されるのが、百貨店を敬遠する声を受け、消費者に寄り添うサービス「コンシェルジュ」だ。4階婦人服フロアでは20〜40代の女性をターゲットに「ファッションアテンダントサービス」を行う。前日までに予約すると、コンシェルジュが「リゾート着なのか仕事着なのか」など服の用途を聞き、体形や肌の色を考慮して、さまざまなブランドの中からぴったりの商品を紹介してくれる。
「お客の悩みを聞き、同じ目線に立って広い選択肢の中から服装を提案したい」とコンシェルジュの一人は話す。高級すぎて気後れしそうな百貨店のイメージを一新し、消費の掘り起こしを狙う。