玄海原発:1号機存続の判断に疑問の声 

毎日新聞 2013年06月11日 07時01分(最終更新 06月11日 07時47分)

 しかし、九電の今年3月期連結決算は最終(当期)損益が3324億7000万円の過去最大の赤字額となった。本来、発電もせず年間約100億円を投じる余裕はない。立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「動いていない施設に巨費を投じられるのは、原価として認められれば電気料金から徴収できる仕組みになっているからだ」と指摘する。

 原発が経済的に優位だとする九電の主張についても「現時点で1号機にどの程度の安全対策をすれば20年延長できるという確証はなく、コストの試算はできないはず。事故が起きた場合を想定し、賠償費用や事故収束費用も加えれば優位とはいえない」と疑問視する。

 1号機は原子炉圧力容器の想定以上の老朽化が判明し問題となった。昨年、規制委の前身の原子力安全・保安院は「2033年までは十分健全」としたが、老朽化の原因は不明のままで、中立的な研究機関で解析すべきだという専門家の意見も根強い。再稼働を強く求める玄海町の岸本英雄町長でさえ、「20年の運転延長は不安」と漏らしている。

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