玄海原発:1、2号機維持に年間計約100億円
毎日新聞 2013年06月11日 07時00分(最終更新 06月11日 07時49分)
再稼働のめどが立たない九州電力玄海原発1、2号機(佐賀県玄海町)を運転停止のまま維持するのに、修繕費だけで年間計約100億円がかかることが九電への取材で分かった。人件費などを合わせると維持費はさらに膨らみ、経営圧迫は避けられない状況だ。一方、維持費は値上がりした電気料金の原価に入るため消費者の反発を招きかねず、老朽化が問題となっている1号機の廃炉を求める声が強まりそうだ。
九電は7月に原発の新規制基準が施行されることに伴い、川内1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海3、4号機の今年度中の再稼働を目指している。30年以上運転している玄海1、2号機については2013〜15年度の運転計画でも再稼働を想定していない。
原発は運転停止の状態でも日常的なメンテナンス、経年劣化対策などの修繕費がかかり、九電によると玄海1、2号機で年間約100億円。維持費は他に人件費や関連会社への保守点検などの委託費などがあるが、「1〜4号機のプラントごとに金額を分けられない」と明らかにしていない。昨年度、九電の原発全6基は運転停止の状態で維持費の総額が計1326億円だったことから、単純計算すると1基あたり平均221億円となる。
一方、玄海1号機の運転開始は1975年10月、同2号機は81年3月。中でも1号機は九州の原発で最も古く、再稼働させるには新規制基準に基づく安全対策費が膨大になる見通し。また、原発の運転を原則40年とする改正原子炉等規制法の「40年廃炉ルール」の期限を2015年10月に迎える。経営難の中、例外規定の20年延長が認められるか分からない状況で巨額な維持費を投じる形となる。
九電は「玄海1、2号機は技術的条件に適合すれば運転期間を延長することを考えている。1号機については今後、改正原子炉等規制法に基づき延長に必要な検討を実施していくこととしている」とコメントしている。【関谷俊介】