降圧剤:ノ社は年間1000億円売り上げを計画
毎日新聞 2013年06月11日 07時31分
ノバルティスファーマの社内資料などによると、同社は2002年ごろ、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の年間売り上げ1000億円を目指す「100Bプロジェクト」をスタートさせた。Bは英語で10億を示す「ビリオン」の頭文字だ。スイス本社との共同事業だった。
降圧剤は、血圧を下げる作用の仕組みによって複数の種類があり、バルサルタンはそのうち「ARB」と総称される種類に属する。ARBは00年前後に数社が発売し、競合品との差別化が社内の最重要課題だった。
「100B達成には国内の臨床的データの創出が不可欠」として、ノ社が一連の臨床試験を企画・提案したのはまさにその時期だった。
最初の試験となった東京慈恵会医大のチームは、バルサルタンが脳卒中などのリスクを大きく下げると結論付け、論文は07年4月に一流医学誌「ランセット」に掲載された。
この成果は、医師向けの宣伝に大々的に活用された。多くの医師は「患者に処方する薬の選択を変えさせるほどのインパクトがあった」と口をそろえる。
発売翌年(01年)の売り上げは薬価ベースで160億円だったが、4月に慈恵医大の論文が発表された07年は1276億円、8月に京都府立医大の論文が発表された09年は1400億円を記録した。