和食が好きという山崎。野球は右投げ右打ちでも、はしは左手で操ります=宮城県仙台市の旬の味 花板で(池田まみ撮影)
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中日選手の食生活やここ一番での勝負メニューに迫る企画「竜戦士のチカラめし」。第3回はサヨナラ打をマークするなど存在感を示している山崎武司内野手(44)だ。今回は、一昨年まで楽天の主砲として仙台のファンから愛されたベテランが愛した、仙台のご飯に迫った。
今年の遠征でも
とても相手チームの選手とは思えない声援だった。Kスタ宮城での楽天戦でひときわ大きな拍手で迎えられたのが、一昨年まで在籍していた山崎。今でも仙台のファンから愛されている。そんな男が愛した味って…。今回は交流戦らしく仙台のお店をお邪魔しました。
「楽天のときは、ほぼ毎日食べていたよ。おいしいし、いろんなものを作ってくれる。大将とも気が合うしね。何より素に帰れる場所なんだよ」
紹介された日本料理店『旬の味 花板』の場所は仙台の繁華街、国分町のど真ん中。店内はカウンターと座敷、個室があって、とても雰囲気がいい。山崎は今回の遠征でも三日三晩こちらを訪れたらしい。
この店との出合いは楽天球団が誕生した2005年。知人に紹介されて通い始めた。地元の食材を使った料理もうまいし、わが家のように居心地がいい。そして何よりも愛したのが炊きたてのご飯だった。
宮城県産の陶器釜
山崎が通い始めたときのこと、すでに意気投合していた店主の村上浩一さん(42)にこう注文した。「おかずはおいしいけど、ご飯がまずいよ」。当時は電気炊飯器で炊き、確かにナイター後となると保温で5時間近くたっている。そこで村上さんは土鍋で炊く方法を模索すると地元・宮城県で製造している『飯炊釜(はんすいがま)』を入手。以来、山崎が来店してから約30分をかけて炊くようになったそうだ。
米も宮城県産です
米は宮城県産のササニシキ。農家から玄米を購入して、定期的に精米しているという手の入れようだ。
「山崎さんは人柄がいい。真っすぐで繊細で。できる限り応援したいと思っているんです。毎日食べて飽きないものをと思っていました」
こう話す村上さんは宮城県気仙沼市出身。高校卒業後に料理の道に進んだそうだが、山崎の真っすぐな性格にひかれていった。付き合いは8年にもなるが、楽天時代にはこんな思い出がある。
数年前、山崎は楽天・星野監督と衝突。立場が危うくなることを心配した村上さんは「謝ってください」とお願いした。すると「大将、大将だって尊敬できない師匠のもとでは働けないでしょ」。返す言葉がなかった。
取材を終えて、村上さんに山崎に期待することを聞いてみた。「そりゃ楽天の監督になってもらうことですよ。仙台市民はそれを望んでいます。それは絶対です!」。いやいや中日の財産なんですが…と思いながら、あらためてすごさを実感した。 (兼田康次)
◆レシピ「炊きたてご飯」
材料(2人前):白米 3合、水 3合
作り方:(1)米をといで1時間以上水に浸す。(2)『飯炊釜』で10分間強火にかける。(3)火を止めて15分間蒸らす。
店主の村上浩一さんと談笑しながら食事をする山崎(右)
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被災時には支援
山崎は被災したときも足しげく通った。一昨年3月の震災直後は、夫人に依頼して愛知県内の自宅から手に入りにくいトイレットペーパーなどの日用品を送ってサポート。何とか10日後に営業を再開したそうだ。
「あのときは助けていただきました」と村上さん。ちなみに山崎は「もう見たくないよ、というぐらいまで食べ続けるタイプ」だそうで、一時は毎日のようにのどぐろの塩焼きを入手して出していたそうだ。
◆旬の味 花板
宮城県仙台市青葉区一番町4−3−9第三藤原屋ビル1階 (電)022(261)2643
営業時間:午後5時から午後11時
定休日:第1日曜日
◆飯炊釜
宮城県内の「山の工房村」で製造された陶器製の炊飯釜で、構造は本体と外ぶたと内ぶた。陶器ならではの保温性と釜内部に炭の成分を焼き付けたことで、ご飯をよりスッキリした味わいに仕上げている。
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