1-3月期GDPは年率4.1%増へ上方修正、市場の事前予想も上回る
6月10日(ブルームバーグ):1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で、前期比年率4.1%増と、速報値から上方修正された。事前の市場予想は上回った。
内閣府が10日発表した同期のGDP改定値は、前期比1.0%増と速報値(0.9%増)から上方修正。3日公表された法人企業統計の内容を加味した結果、設備投資が同0.3%減と速報(0.7%減)から引き上げられた。GDPの約6割を占める個人消費は同0.9%増と、速報と変わらず。公共投資は同0.4%増と速報の0.8%増から引き下げられた。
ブルームバーグ・ニュースの事前調査では、実質GDP改定値の予想中央値は前期比0.9%増、年率換算で3.5%増と、速報値と同じ伸びが見込まれていた。政府は前月20日の月例経済報告で、景気は「緩やかに持ち直している」として、前月の「一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる」との判断を上方修正した。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは統計発表前のリポートで前期比0.9%増、年率3.6%増と1次速報からほとんど変更がないと予想。「法人企業統計の結果を反映して小幅の上方修正が予想されるが、修正幅はごくわずかであり、景気認識に修正をもたらすものにはならないだろう。景気は13年1-3月期に明確に改善していたことがあらためて確認される見込みだ」としていた。
財貨・サービスの輸出は同3.8%増、輸入は同1.0%増と、ともに速報と同じだった。
4-6月以降は回復加速GDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度でみると、国内需要(内需)はプラス0.6ポイントと速報(プラス0.5ポイント)から上方修正。輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)はプラス0.4ポイントと、速報と同じだった。在庫の寄与度はマイナス0.0ポイントと速報(マイナス0.2ポイント)から上方修正された。
生活実感により近いとされる名目GDPは、前期比0.6%増(年率換算2.2%増)と速報の0.4%増(同1.5%増)から上方修正。総合的な物価指標であるGDPデフレーターは前年同期比1.1%低下と速報(1.2%低下)から引き上げられた。
財務省が3日発表した法人企業統計によると、1-3月期の設備投資額は前年同期比3.9%減。GDP改定値に反映されるソフトウエアを除いた額 は同5.2%減と、いずれも前期(それぞれ8.7%減、7.2%減)から減少幅が縮小した。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは統計発表前、4-6月以降の景気について「12年度補正予算の効果が本格化してくるほか、住宅投資を中心に来年の消費増税前の駆け込み需要も続く」と指摘。減少が続いていた設備投資も「円高修正を受けて収益が大きく回復した製造業で緩やかな持ち直しが予想されるほか、堅調な内需や不動産市場の持ち直しを背景に非製造業でも回復が予想される」としている。
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更新日時: 2013/06/10 09:03 JST