メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

トピックス
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック
米中と世界―大国の責任を果たせ

米カリフォルニア州で7、8両日、計8時間にわたって行われた米中首脳会談は「新しい米中関係」を強調して終わった。既存の大国と、新たに勃興した大国の関係は往々にして不安定に[記事全文]

成長戦略―「成熟国戦略」をこそ

民間の設備投資を3年で10%増やし70兆円に回復▼インフラ輸出は20年に3倍の30兆円▼外国企業の対日投資残高は2倍の35兆円▼農林水産物・食品の輸出も2倍強の年1兆円に……。[記事全文]

米中と世界―大国の責任を果たせ

 米カリフォルニア州で7、8両日、計8時間にわたって行われた米中首脳会談は「新しい米中関係」を強調して終わった。

 既存の大国と、新たに勃興した大国の関係は往々にして不安定になり、周辺国を巻き込みかねない。歴史が教える愚かな道は歩まず、互いに尊重し合い、協力を重視する。

 そうした基調を、オバマ大統領と習近平(シーチンピン)国家主席が共有したことは大きな意味がある。アジア太平洋地域の平和と安定のため、米中が協力する第一歩となることを期待したい。

 一方で、両国を隔てる溝の深さもうかがえた。

 経済規模で米国に次ぎ、軍事大国ともなりつつある中国が世界に及ぼす影響は大きい。ところが共産党一党支配のもと、政策決定過程が不透明で、周辺国との摩擦も絶えない。

 日米を含む世界の国々が中国の動向に関心を払い、世界に扉を開くよう求めてきた理由がそこにある。

 その点、今回の会談は中国への国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)するものとは言い難い。

 例えば、オバマ氏が問題提起したサイバー攻撃問題だ。

 米国の政府機関や企業の重要情報がネットで盗み取られる被害をめぐり、米側は中国の政府や軍がかかわっていると疑っている。

 習氏はこれまで通り中国の関与を否定し、「中国も被害者だ」との主張を繰り返した。

 サイバー問題のルール作りで合意したが、実効性を持つものになるか不安を残した。

 西太平洋に進出を図る中国海軍の動向も不気味だ。中国軍は何をめざしているのか。そもそも軍がどこまで統制されているのか。尖閣問題を抱える日本にとって、ひとごとではない。

 両首脳は軍事交流の強化で一致したものの、習氏は「主権と領土をしっかり守る」と妥協しない面も見せた。

 習氏は、中国経済の見通しについて「前途を楽観しているが、リスクと試練があることも認識している」と語った。

 全貌(ぜんぼう)が明らかになっていない地方政府債務の問題をはじめとして、先行きが海外から不安視されている。経済統計の信頼性にも疑問符がつき、経済大国と呼べる姿ではない。

 中国の指導者はこれまで「世界最大の発展途上国」を自称し、温暖化対策などで先進国並みに義務を負わされるのを避けてきた。今回は、その言い回しは前面に出ていない。

 大国にふさわしい、責任あるふるまいを望む。

検索フォーム

成長戦略―「成熟国戦略」をこそ

 民間の設備投資を3年で10%増やし70兆円に回復▼インフラ輸出は20年に3倍の30兆円▼外国企業の対日投資残高は2倍の35兆円▼農林水産物・食品の輸出も2倍強の年1兆円に……。

 安倍政権は成長戦略で高い目標を掲げ、「日本はまだまだ成長できる」「再び世界の真ん中で活躍できる」と鼓舞する。

 たしかに、デフレの克服と成長の実現は、日本が直面する最大の課題だ。

 ただ、国と経済界がシナリオを描いて国民を引っ張るような訴えに、時代とのズレを感じる人が多いのではないか。

 首相が「国民総所得」という聞き慣れない指標を持ち出し、「10年後には1人あたりで現状から150万円、約4割増える」と言われても、それが年収とは直結しない指標だと知るにつけ、「まゆつば」と思うのがオチだろう。

 3回にわたる首相の成長戦略演説は、株式市場には「新味に乏しい」と評判が悪いが、初回の「女性の活躍」「保育施設の整備加速」は話題になった。

 ここに、少子高齢化と低成長に向きあう経済大国にとってのヒントがある。

 国民の間に大きなニーズがありながら満たされていない分野を分析し、国民全体の力をフルに生かしつつ、新たな雇用と所得を生んでいく。そのために規制と予算・税制の改革を集中する。そんな「成熟国戦略」をこそ打ち出すべきだろう。

 たとえば介護分野。ヘルパー不足を解消するため、低賃金・長時間労働をどう改善していくか。政府は予算確保へ少しずつ動き出したが、制度全体を見渡した検討が必要だ。

 電力分野は、規制緩和で新たなビジネスが生まれる余地が大きい。自治体によるメガソーラー(大規模太陽光発電)の誘致合戦が活発だが、地域での発電を雇用に結びつけるような取り組みを後押ししたい。

 起業を目指す人たち、とりわけ行政が解決できていない課題に取り組む「社会的起業」について、挑戦する若者への支援を徹底していけば、停滞感が漂うベンチャー支援策に新たな展望が開けるのではないか。

 元気な高齢者の知恵と技能を生かすため、雇用延長やシルバー人材センターへの登録にとどまらず、社会全体で「人材バンク」を作れないか。

 日々の生活の視点から戦略を立ててこそ、首相が言う「全員参加」「一人ひとりがそれぞれの持ち場で挑戦する」という機運が盛り上がり、成長にも寄与するだろう。

検索フォーム

注目コンテンツ

  • ショッピングタブレットにちょい足しして

    1つで3役の便利アイテムも

  • ブック・アサヒ・コム追悼・なだいなださん

    「権威と権力」自由であること

  • 【&M】北方謙三さんが語る

    思惑を超えキャラが動く水滸伝

  • 【&w】「ただ、父に会いたかった」

    映画監督河瀬直美の原点とは?

  • Astand宝塚星組3度目の再演

    深く濃く進化したロミジュリ

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014