東京電力福島第1原発事故により長距離避難を強いられた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら50人が死亡した問題で、このうち4人の遺族計15人が10日、東電に計1億2500万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告側の新開文雄弁護士によると、訴えたのは、双葉病院の入院患者と、隣接する系列の老人保健施設「ドーヴィル双葉」の利用者で、2011年3~4月に死亡した60~90歳代の男女の遺族。病院で死亡した他の3人の遺族も近く提訴する予定。
東電側は、避難によって健康状態が悪化した患者の遺族への賠償については個別に対応しているが、提示された金額に遺族側は納得していないという。東京都内で記者会見した新開弁護士は「4人の死は原発事故と因果関係があり、東電の対応は人の死を正当に評価していない」と語った。
病院側は独自調査を行い、「多数の死亡は原発事故が原因」としたうえで「できる限りのことはやっており、病院側の過失はない」とする調査結果を公表している。
東電広報部は「訴訟に関することは回答を差し控えさせていただく」としている。【川名壮志】
2013年06月11日 00時47分