福井県の造り酒屋を舞台にした漫画「蔵の宿」などで知られる坂井市丸岡町出身の作家で漫画原作者、演出家の西ゆうじ=本名・祐治=(にし・ゆうじ)さんが6日午前2時12分、胃がんのため東京都板橋区の病院で死去した。59歳。
関係者によると、2年ほど前から都内の病院に入院していた。通夜は8日午後6時から、告別式は9日午前10時半から、いずれも東京都豊島区池袋3の1の6、祥雲寺で。喪主は長男由澄輝(ゆずき)さん。
坂井市丸岡町安田新出身。大学卒業後、映画監督の鈴木清順氏に師事し、テレビドラマの脚本から作家活動を始めた。深夜ラジオ番組や舞台演出など幅広く手掛け、1998年〜2010年の長期にわたり、週刊漫画TIMESで「蔵の宿」を連載。主人公を本県生まれに設定した「あんどーなつ―江戸和菓子職人物語」や「華中華」など数多くの原作がある。
03年からは坂井市と丸岡町文化振興事業団による全国公募の日本一短い手紙コンクール「新一筆啓上賞」の選考委員を務めた。「漫画一筆啓上 日本一短い母の手紙」などを世に送り出し、作品の中で丸岡城や東尋坊など、古里の名所を数多く登場させた。02年から県のふるさと大使も務めている。
「蔵の宿」や「あんどーなつ」はテレビドラマ化され、県内ロケが行われた。10年には母校の磯部小で講演し、あんどーなつ執筆取材のため県立恐竜博物館や曹洞宗大本山永平寺などを訪れた。