原発地下水の海への放出 初の説明会6月5日 20時52分
東京電力福島第一原子力発電所で、井戸から地下水をくみ上げて海に放出する計画について、国と東京電力が、いわき市などで一般の人たちを対象にした初めての説明会を行い、出席者からは、「トラブルが相次いでいて、信頼できない」などの意見が出されました。
説明会は、福島市といわき市の2つの会場で開かれ、政府や東京電力の担当者、それに専門家で作る汚染水処理対策委員会のメンバーが出席し、このうち、いわき市の会場には、15人の市民が参加しました。
この中で、国側は、地下水を海に放出する「地下水バイパス」の計画について、井戸でくみ上げた地下水を調査した結果、放射性物質の基準を下回っていたことや、放出前には、必ず放射性物質の測定を行うことなどを説明し、理解を求めました。
また、東京電力が、「地下水から放射性物質は検出されなかった」と、いったんは発表しながら、あとになって微量のセシウムが検出されたことについて、水が放射線を遮る効果を考慮せずに計算したためだと説明しました。
出席者からは、「トラブルが相次いでいて、信頼できない」とか、「放射性物質が基準値を超えた場合、保管場所はあるのか」などの質問や意見が相次ぎました。
地下水バイパスの計画を巡っては、地元の漁業者からも反発の声が上がっています。
説明会に参加した大熊町の女性は「海に放出するということは、いくら値が低くても、全体の量で見ればどれほどの値になるのか分からないので不安です。説明会の内容も数字ばかりで分かりづらかった」と話していました。
また、いわき市の男性は「風評被害の対策について回答がなく納得がいかない。必要性は分かるが、国や東京電力の姿勢には早く既成事実を作りたいように感じる。不安を払拭(ふっしょく)できるよう丁寧に説明してほしい」と話していました。
一方、経済産業省の中西宏典審議官は「地元の方を中心に直接、説明できたことはよかった。今後、漁協の方々など関係者に説明を続けて、東京電力と共に時間をかけて進めていきたい」と話していました。
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