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超軽量飛行機で重大事故多発!30年で150件超

資材置き場に墜落した超軽量飛行機

 宇都宮市で9日、超軽量飛行機「ウルトラライトプレーン」(ULP)が墜落する事故があった。操縦していた66歳の無職男性は一命を取り留めたが、重傷。飛行中、機体が風にあおられたためとみられる。自ら所有する飛行機でオリジナルの空の旅を楽しめ、中高年層を中心に人気のULPだが、事故は過去30年間で150件以上起きている。

 日曜の朝、快晴。満喫するはずの大空散歩は、離陸直後に暗転した。

 栃木県警宇都宮東署によると、埼玉県越谷市の無職・森永誠二さん(66)の操縦するウルトラライトプレーンは9日午前10時ごろ、宇都宮市内を流れる鬼怒川の河川敷にある離着陸場からテークオフ。ところが、約10分後に約200メートル西の地点にある資材置き場に墜落した。

 墜落の途中、主翼が電柱に当たるなどして破損。幅約6メートル、奥行き11メートル、高さ約7メートルの機体は原形をとどめないほど無残な姿となってしまった。森永さんは内臓損傷、複数の骨折などで重傷を負ったが、意識はあり命に別条はない。

 同署は事故原因を調べているが、森永さんは病院に搬送される際に「旋回中に風にあおられて操縦不能になった」と説明。当時、宇都宮市の上空は快晴だったが、突風によって機体のバランスを崩した可能性がある。

 墜落した飛行機は米国製の「チャレンジャーR53L」。同機について、関東最大規模のULP愛好団体「守谷フライング・オーナーズ・クラブ」(茨城県守谷市)の中村満代表(65)は「風に翻弄されやすいし、エンジンが突然止まる可能性はセスナ機の10倍はあります。最初から不時着する技術がないと、とてもじゃないけど操縦は勧められません」と説明した。

 ULPは1970年代後半に米国から日本に上陸。当初は免許制度などが整備されておらず、事故が続出した。84年から許認可制度が設けられ、操縦には認定証が必要になった。それでも事故は後を絶たず、国交省によると、現在まで計156件発生している。

 事故が多発し続ける状況に、中村代表は「飛べない人は飛べない。誰にでもできるスポーツではありません」と警鐘を鳴らす。航空評論家の青木謙知さんは「機体を自作するケースが多いわりに、安全に関する規定が緩い。自己責任でやりましょう、となっているのが現状です」と話している。

 ◆ウルトラライトプレーン 超軽量飛行機、超軽量動力機、マイクロライトプレーンとも呼ばれる。エンジンを搭載し、プロペラで飛ぶ。1~2人乗りで、時速は約100キロに達する。飛行空域は離着陸場の半径3キロの高度200メートル以下(原則)。機体価格は約150万円~。17歳から認定証が発行されるが、訓練に約50万円かかるため、中高年者の愛好者が多い。

(2013年6月10日06時05分  スポーツ報知)

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