東証:1万5000円台…5年5カ月ぶり 円安進行を好感
毎日新聞 2013年05月15日 16時12分(最終更新 05月15日 21時41分)
15日の東京株式市場は、円安を好感して自動車などの輸出株を中心に買われ、日経平均株価の終値は前日比337円61銭高の1万5096円03銭と、終値としては07年12月28日以来、約5年5カ月ぶりに1万5000円台を回復した。日経平均株価は半年前と比べ7割の上昇で、過去の局面と比べても上昇率の高さが際立っている。市場では、急ピッチな上昇に警戒感も生じている一方、なお強気の見方も多い。
15日の株式市場は、1ドル=102円台の円安や、前日の欧米市場での株価上昇を受けて、買い注文が集まった。ただ買われたのは、円安により採算改善が見込まれる自動車や電機などの輸出関連銘柄が中心。これまで買われてきたノンバンクや不動産は下落しており、東証1部全体では6割弱が値を下げた。
新興市場株で構成される東証マザーズ指数は8%下落した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「新興市場株の一部はこれまで実態以上に買われており、バブルの色彩が強かった」と指摘する。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストも「実際の企業活動は株価上昇ほど活発になっていない」と警戒、近く上昇は止まるとみる。
日経平均株価は、昨年11月の野田佳彦前首相による衆院解散表明以降、上昇基調が続いている。この半年の上昇率は7割を超え、過去の上昇相場と比べても大きい。1980年以降、安値から半年間の上昇率では、これまで高かったのはバブル相場初期(87年4月まで)で52%、小泉郵政解散相場時(05年12月まで)で41%、リーマン・ショック後(09年9月まで)で49%だった。
特異な上昇率といえるが、市場関係者からは「この勢いは止まらない」と強気の予想も多い。主要企業の多くは、14年3月期に増益を予想しているうえ、米景気の回復に連れて円安がさらに進むとの見方も多いためだ。カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは「この秋以降、業績を上方修正する企業が相次ぐとみられ、日経平均株価は1万8000円を目指す」と予想。東証1部の売買代金も15日には4兆円の大台を超えており、「エネルギーがたまっている」(アナリスト)ことも好材料だ。