ポーカー世界選手権(WSOP)は毎年5~7月に米ラスベガスでメーンイベントのほか、サブイベントも含めて約60種目の競技が行われる。満21歳以上なら誰でも参加でき、参加費は種目ごとに1000ドル(約10万円)程度から5万ドル(約500万円)まで様々。メーンイベントの優勝賞金が1200万ドル(約12億円)に達したこともある。優勝者には大きな賞金が贈られるが、上位10%の入賞者にも参加費の2倍程度の賞金が贈られるそうだ。
■一睡もできなかった3日間
木原さんが優勝したのはサブイベントの「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」という種目。1日10時間の熱戦を3日間続けた末に参加者419人の頂点に立った。「興奮していたせいか、3日間で一睡も出来なかった」と振り返る。
決勝の最終局面の模様を再現してみよう。
「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」では手札のうち2枚、場札のうち3枚からベストの5枚を選び、役を作るのがルール。木原さんの手札は「ハートK、ハートQ、スペードJ、クラブ6」。場札は「スペードA、ハートJ、ハート2」。
役は「Jのワンペア」だけだが、場札の4枚目(ターン)か5枚目(リバー)に10が来れば「ストレート」、ハートが来ればハートの「フラッシュ」が完成する。
一方のクリス・デマーシさんの手札は「スペード2、クラブ3、スペード4、クラブ5」。手札からは2枚しか使えないので役は「2のワンペア」だけ。ただ、場札の4枚目(ターン)か5枚目(リバー)に3か4か5が来れば「ストレート」、2が来れば「スリーカード」が完成する。
■勝負を分けたその瞬間……
木原さんの手札はまだ「Jのワンペア」だけ。
「Aがペアになっていないので不利かもしれないが、勝機は五分五分くらいだろう」と読んでいた。この時点で持ち点は木原さんが500万点、クリスさんが100万点。すると、クリスさんが持ち点すべてを投入し、ここ一番の大勝負に打って出た。持ち点が少ないので、勝負に出ない限り、ジリ貧になるため、「ここが勝負時」と判断したようだ。
「受けて立つしかない……」。木原さんも同じ額だけチップを提示することにした。
――場札の4枚目(ターン)はダイヤ6。
木原さんはこれで「Jと6のツーペア」が完成。
――最後の場札の5枚目(リバー)はクラブ7。
結局、木原さんの「ストレート」「フラッシュ」も、クリスさんの「ストレート」「スリーカード」も完成せず、木原さんがゲームを制することになった。クリスさんとの一騎打ちは40分ほどで終わった。
「淡々と普段通りに、投資効率に見合った期待値の高いプレーを積み重ねることができたのが勝因」と木原さん。リスクを恐れて勝負しなければ勝てない――。セオリー通りに勝利を手に入れ、「うれしいというよりも、むしろホッとした」とその時の胸の内を打ち明ける。
2012年6月、米ラスベガスで行われたポーカー世界選手権の「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」という種目で優勝した木原直哉さん(31)。獲得した賞金は約51万ドル(約5100万円)。世…続き (6/7)
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