動機にはいろいろな特徴があると考えられますが、大きく分けると二種類に分類することができます。一つは、自分を中心にして、身体的・心理的に自己維持を求めようとするもの。もう一つは、成長、自己実現等、自分の身の回りを豊かな満足に向上させようとするものです。
前者を、生存動機、後者を生成動機と呼ぶ人もいます。
これらを追い求めて成功するということは、どんな文化であろうと、特定の生理的および心理的欲求、ようするに心の中にある願望を満たさなければならないことを意味します。
しかし、それだけではありません。他の人たちとの生存と生成の追求、それから、自分が所属する集団自体の生存と生成の追求も考えなければなりませんから、その目的を果たすために、集団の目標と、集団行動するときの考え方などを、自分のものとして受け入れる傾向があります。
このように動機にはそれぞれの特質があるところから、マズローは、人間の基本的欲求を五つにわけ、それらは、階層をなしていると見解を主張しました。
つまり、もっとも基本的なものが身体的欲求です。その上に段階的に、安全欲求、愛と帰属の欲求、自尊と自己向上の欲求、そして、最後に自己実現の欲求というジョン所で順序で層をなしているとしています。
動機は、それぞれの欲求に相互関係があり密着しているので単独に動くことはありません。一つの動機が多くの行為の中にあらわれることもあれば、一つの行為が複数の動機の現れであることもあります。
例えば、ある人が資格試験を受験するという行為は、給料を増やすためでもあり、転職や就職に有利なように、所属企業が倒産しても自分を安全にすることにもなります。また時によっては、仲間に負けたくない競争意識があるかもしれません。
非常に困難な生活環境であるとか、力関係による脅威にさらされている場合などでは、自己維持とか生存に関する動機が優位を占める傾向がありますが、恵まれた条件の下では、なんらかの物事を生成させようとする意欲の動機が有力になる傾向があります。