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2013-06-08

『あいまいみー』と『あいうら』から5分ショートアニメの制作形態を考えてみる 音響編

記事を書くのが久々になってしまいましたが、今回は作品ごとや各話ではなく、ここ最近地位を確立しつつある5分枠のショートアニメという括りを見ていこうと思います。

その中でもとくに音響の一部分、アフレコ周りについて。

扱うのは前期の『あいまいみー』と、今期の『あいうら』です。


まずは『あいまいみー』の話から。

『あいまいみー』は放送後、ロフトプラスワンのイベントの配信や、ニコニコ生放送での番組など*1で、いまざきいつき監督が出てくることが結構あり、そこでの制作の話が興味深いものでした。


  • 【天津向】俺達の生コメあいまいみーナイト!【いまざきいつき】 - 2013/05/13 19:30開始 - ニコニコ生放送

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137122493

  • 生あいまいみー 【大坪由佳&内田 彩】 - 2013/05/31 21:30開始 - ニコニコ生放送

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137768191


具体的に気になったポイントというのが先述したアフレコの話で、前者の配信を聴くと、結構アフレコ収録を粘っていたという話。

後者の配信でも、台詞のイントネーションなど細かな言い回しで、OKテイクが出るまで結構かけていたことを伺わせる話が出ていました。


内田彩
大変だったのは、監督のこだわっている台詞をどう音で表現するか。監督のこだわりに、全部、一ミリのそぐいもないぐらい(中略)
本当にそういう、色んなところを監督がすごいこだわっていて。何回も何回も監督がぴったりくるところまで、すごいこだわって。


大坪由佳
あと私も、愛がエロ本捨てた時*2の「おおう……」みたいな反応は、すごい監督に指示を頂いて。
でも結局最終的にちょっとわからなくなって、「自分なりにやってみていいですか」っていってやったら「それだよ!」って。


大坪由佳
当日(茅野愛衣に)紙が来たんですよね。「ぬとねの間の音でお願いします」みたいなことが書いてあって。*3


  • 生あいまいみー 【大坪由佳&内田 彩】 - 2013/05/31 21:30開始 - ニコニコ生放送 より

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137768191


多少書き言葉に変えつつ起こしていますが、大体こういった話でした。

いまざき監督は原作のネタの再現を重視しており、ネタ台詞のイントネーションはこのように、イメージにぴったり合うまで粘っていたようです。

それは監督のTwitterでのこうした発言からもわかりますね。


ちなみに“魚ターンあーんどロールケーキ!”はちょぼ先生に直々に教わったニュアンスですのであれが正式な読みと発音です。皆さんも折あればお使い下さい。

https://twitter.com/itsuki_imazaki/status/312604974855102465


といった部分がどうしてそこまで気になったかというと、細かなネタひとつに粘る、というやり方は、本編の尺が5分だからこそ出来る時間のかけ方じゃないか、と思ったからです。

収録すべき尺がそもそも短ければ、個々の台詞のイントネーションを粘るというのがやりやすくなるから、こうしたことが出来たのかな、と。

30分尺と同じような収録形態なのかは分かりませんし、どこまでそれと単純な比較が可能かも微妙ではありますが、本編5分尺という下地がなければ不可能なやり方なんじゃないかと思います。


続いては『あいうら』から、中村亮介監督のTwitterでの発言を取り上げてみます。


あいうらは編集とアフレコを全体で2回にわけてるんですが、そうすると7-12話がいっぺんの作業になって。12話を7話のスケジュールでつくるというのはスタートの遅かった本作ではなかなかに厳しいです。

https://twitter.com/Ryousuke_Nak/status/324723781715259392


大変そうではありますが、興味深い話でもあります。アフレコは大きく2回にわけてある程度まとめて行なっているとみて良いということですね。

時間的制約が先行したスケジュールだとは思いますが、新人の主演陣を考えると、5分に満たない尺でもある程度まとまった収録を行うことで、経験の密度を上げることに繋がるのではないかと思います。

経験が多い声優であれば、週に1,2度の短い時間のうちに収録をこなせる――というか本作でいえば杉田智和さんや田村ゆかりさんなんかはそういったタイプの登板っぽくもありますが、本作のまさにこれから育っていくという主演陣は、さくっと録るというよりはある程度まとまった時間で役をしっかり掴んでいくのが大事なはずです。

中村監督も「尺が短い作品だったのが心残り」*4とは語っていますが、一方で収録の形式がある程度補う形で働いているんじゃないかとは思っています。

というのは、やっぱり主演陣の演技は結構はっきり変化が見えていて、第9話の歩子の「なんでやねん」などは、役の上での三人の距離感が近くなっていることとも重なって面白いと感じるところでした。


D

本作は公式チャンネルで詰め合わせとして本編を連続で観られる動画もあるので、そちらも参考に。


また、アフレコではなく編集の方でいうと、中村監督は各話単位だけでなく連続で見た時の起伏も考えられているようで、それもこうしたまとまった作業が下地にあることで出来ることなのかな、と。


今日はあいうら10話-12話の、ダビング(音入れ)用のフィルムの差し替え作業をしていました。

本当に何気ない日常が続く本作ですが、1話から12話まで通して見てもらった時には、各話単位で見ていた時には感じなかった起伏を感じてもらえるつくりを、ひそかな狙いにしています。

https://twitter.com/Ryousuke_Nak/status/337122039947218944


最後ちょっと逸れましたが、5分アニメ2作品のアフレコ事情でした。

どちらも時間がない、と監督が仰られているようにスケジュールとしては大変そうですが、今までとは違う制作の仕方が起きてるんじゃないか、という予感があったりします。

これについて、いまざき監督が面白いことを仰っていました。


ショートアニメのメリットとして、アニメ制作に於いてお約束になりがちな伝統的制作方法や手順を比較的容易に否定出来る、というか覆せる気がします。短期スケジュールが基本ですから、納期までに望まれるデータが作成出来ればその手順は関係ない、みたいな。もちろん現場の理解あってこそですが。

https://twitter.com/itsuki_imazaki/status/335783342131773440


これからもどんどん作られるであろうショートアニメによって、新しい制作方法が生まれたりするのでしょうか。

それが個人的に注目していきたいポイントだったりします。

*1:URLは貼りつつも、ちょっともうチェックしようがない感じですが、今後そういった機会がないとは言い切れないので、配信元のバンブーちゃんねるさんをチェックしていただければと……。

*2:第11話「バタートランス仙人」

*3:第9話「FX」

*4https://twitter.com/Ryousuke_Nak/status/337124399360647168

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