経済の死角

追及第4弾クスリの闇 ついに製薬会社に行政指導!「疑惑の降圧剤(バルサルタン)」&「保険診療費」に群がった学者を直撃

2013年06月09日(日) フライデー
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本誌記者の直撃に答える小室氏。心臓の再生医療のエキスパートであり、「人望もある」とは関係者の弁〔PHOTO〕香川貴宏

「私はノバルティスのMRから、こう説明を受けたことがあります。『先生、ディオバンには血管の傷を治す効果があるんですよ』と。動脈硬化とか心筋梗塞は血管の傷が元で起こる病気ですから、そう言われて心を惹かれない医者はいませんよ。でも今は、それが〝インチキ〟だったかも知れないと思っています。私個人の意見としては、降圧剤は似たり寄ったりの薬が多い。ディオバンは市場から撤退すべきだと思います」

(上)厚労省から行政指導を受けたノバルティスファーマ本社。第三者による調査委員会を設けているという〔PHOTO〕村上庄吾
(下)バルサルタン(商品名ディオバン)の錠剤。世界中で売られているが、総売り上げの約3割が日本だった〔PHOTO〕神取亜理沙

 こう語るのは、東京ハートセンターの南淵明宏センター長である。ディオバンとは医薬業界に大スキャンダルを巻き起こしている、製薬会社『ノバルティスファーマ』(東京・港区)の降圧剤『バルサルタン』の商品名だ。

  '00年に発売されたバルサルタンが年間1000億円を売り上げるドル箱商品になったのは、学者とノバ社、医療専門誌が三位一体となってその薬効を宣伝したことが大きい。しかし、薬効を謳う根拠となった「バルサルタン論文」のデータに相次いで不正が指摘され、医学界はショック状態に陥っている。

 5月28日までに厚生労働省はノバ社に対し、問題の全体像の検証と、再発防止を求める行政指導を行った。バルサルタン論文では、京都府立医大の松原弘明氏が発表した論文が相次いで「撤回」されており、同大ほか、滋賀医大、慈恵医大、千葉大、名古屋大で行われた治験でも不正がなかったか調査が行われている。

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