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米量的緩和縮小へ3シナリオ 雇用増加幅カギ

2013/6/7 23:43
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 【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和政策縮小に踏み切るうえで、最大のカギを握る米国の雇用に市場の関心が一段と高まってきた。5月の新規雇用は前月比17.5万人増と回復基調を保ったが、バーナンキFRB議長は米雇用と景気回復の「持続力に確信が持てること」が政策転換の大前提とする。物価や長期金利も含めて総合的な経済情勢を見極める意向で、9月以降に出口政策を判断する展開が軸になる。夏から秋にかけて、雇用と金融政策がどう動くのかシナリオを探った。

 5月雇用統計を巡っては、事前の民間調査などを踏まえ下振れするとの見方もあったが、17.5万人増で前月を上回った。ただ、雇用統計は速報と改定のブレが広がりやすい面もあり、堅調な流れが続くかが焦点だ。

 アトランタ地区連銀のロバートソン副総裁の推計では、月17.5万人程度の安定した雇用増が続けば、失業率はおよそ3年でFRBが目指す6%程度に低下する。今後も10万人台の半ば~後半の雇用増が定着すると、早ければ9月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)で出口を模索する流れが強まりそうだ。

 ただ、9月のFOMCまでは4~6月の米国内総生産など複数の重要指標の発表を控える。2013年後半にかけ米成長率が市場が期待する3%程度に届かなければ、12月のFOMC以降に出口の模索を先送りせざるを得なくなる可能性もある。

 雇用の先行きには不安も多い。直近の地区連銀経済報告よると、3月からの連邦歳出の強制削減の影響で国防産業を中心に打撃が広がっている。中小企業でも足元の改善ペースが鈍い。夏場の雇用調整が強まり、10万人増程度の低調な伸びが続けば早期の緩和縮小は難しいとの見方が多い。

 市場では5月以降、米10年物国債利回りが2%を超える水準まで上昇した。「このところの急な金利上昇で金融の引き締め傾向が進むと、FRBは対応を迫られる」(ゴールドマンサックス)。出口どころか、金利上昇を抑制するために追加の金融緩和を促す声が強まるとの声も出ている。

 バーナンキ氏は雇用者数に加え、失業保険申請数や賃金上昇率をみて「(改善が)持続可能か判断する」と説明している。時間当たり賃金上昇率は低迷が続き、実質所得の伸びも鈍い。雇用増が低迷すれば、金融緩和の出口は時期尚早との判断に傾く可能性がある。

 FRBが内部の到達目標としている月20万人程度の雇用増ペースを6~8月も保てれば、9月の政策転換が現実味を帯びてくる。FOMC内でも「あと数カ月、雇用の穏やかな改善が続けば資産購入を緩やかに縮小する」(ローゼングレン・ボストン連銀総裁)との見解を支持する向きは多い。月850億ドルの証券購入ペースをひとまず「半減」する案などが浮上しそうだ。

 ただ、非正規雇用増など「新規に創出される雇用の質が低い」(ラスキンFRB理事)との懸念もくすぶる。金融緩和の早期の出口を探る一方で労働参加率のテコ入れも含めて、政府に質の高い新規の雇用創設を迫る声も強まりそうだ。

 高水準の雇用増を実現したとしても物価の低迷という懸念材料は残る。FRBは個人消費支出の伸びで年2%程度が物価上昇が適切とみるが、足元は1%程度とやや低い。米の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」がマイナス4%程度と大きく物価下落圧力はまだ強い。「出口には雇用の20万人増とインフレ率上昇が必須だ」(バンク・オブ・アメリカ)との声も市場では強い。

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