サッカー日本代表 本田選手
“どうやって自立した選手になって、個を高められるか。”
大越
「昨日ですね、サッカー日本代表の本田選手の記者会見を聞いて感動したんですよね。
チームワークは僕らはもともと備わっている、大事なのはこれから個の力、個、自立と言っていたんですね。
チームというものを突き詰めていったときにしっかりとした個がないといけない。
その個を成り立たせるのはしっかりとした理解であり、そういうことが今の社会は求められているのかなと。」
ジャーナリスト 池上彰さん
「日本社会、日本国民って、チームプレーは備わっているんですよね。
すでにチームプレイでは世界トップレベルなんですよ。
でも、それだけじゃいけないと本田選手は教えてくれた。
個々がしっかりしてこそのチームプレーができれば、より日本は強くなるなと思いますけど、でもこれがたいへん難しい。
個を強くしていくためには、ジャーナリストの私たち1人1人もまた、個を強くしなければいけない。
たとえば大越さんがニュースを伝えているときに、個人的にはこういうことをちゃんと言っていかないといけない、だけど今の世の中で果たしてこんなことを言っていいのかと。
嫌な言葉ですが、空気を読んでコメントを考えてしまう、忖度(そんたく)してしまう。
忖度社会とも言われている。
おそらくあるんじゃないかと勝手に思っています。
私も実はそういうことで悩んだことがあるので。
そのときに個は強くないといけない、単に忖度している、あるいは空気を読んで伝えているだけではこれは危険なことではないか。
かといってまったくそれと離れてやるとあいつは空気が読めないとマイナスになってしまう。
空気は読みながら、でも伝えるべきことを少しでも伝える。
そういうコメントを作る努力が求められる。」
大越
「個の力にも関連するが、震災後の社会、2万人のかたが亡くなったマスでみるんじゃなくて、1人1人に生活があって命があって、愛する人たちがいた。
それをどうも私たちは2年経って、忘れかけてはいないかということを本当に強く思ってですね。
政治にしても経済にしても数字・マスでみるのではなくて、1人1人に立脚して考えることが大事なのかな、そういう意味で言うと、私たちが現場を訪ね歩くというのは、1人1人の人間に会いにいくので、そのことと言うのは、これからの社会1人1人の人間に視座を置くというのは大事だなと思うんですけど。」
ジャーナリスト 池上彰さん
「どうしても政府の発表だったり、いろんな中央省庁の白書でまとめると、マスの数字になってしまう。
それを伝える、そればかりだとだめですよね。
震災報道はもちろんのこと、これからのアベノミクスの経済報道の中でも、消費者物価指数が上がっているのか、下がっているのか伝えますよね。
全国の消費者物価指数は下がり続けているが、都区部だけはプラスに転じたと伝えた時に、実際に人々の暮らしにどういう影響が出ているんだという人間の営みが見えてこそ、立体的な重層的なニュース報道になると思う。
それを私は視聴者として見ているが、それを忘れないでいただきたいと思う。」
井上
「私も、池上さんの本を読んだり番組を録画したりしてみたりして、それこそ『学ばせて』いただいてるんですが、自分の意見を声高に言うより、読者や視聴者を信頼して、起きていることの『見方』を提示しているというお話、なるほどと納得しました。」
大越
「ニュースをある期間でせき止めて、その見方を提示する役割ということでした。
私たち毎日、日々、一次情報と格闘していますので、おのずと仕事の仕方も伝え方も違ってくるかと思いますけれども、どちらにしてもしっかりとした取材と確認を通じて、作業を経て情報を提供していくという意味では共通していると思いました。
今日のお話、私たちにとっても大いに参考にさせていただきたいと思います。」