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2013-06-05 「疑似科学ニュース」の「福島の甲状腺癌の変な^2話」
■[医学]「疑似科学ニュース」の「福島の甲状腺癌の変な^2話」

福島県の小児の甲状腺がんをめぐる主張は入り乱れている。やや乱暴であるが、大雑把にまとめると以下のような流れであると私は理解している。なお、ここでは、有病割合=「単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数」、罹患率=「単位人口年当たりの自覚症状を呈して医療機関に受診し診断された患者数」と定義する*1。
2013年2月の段階で、0歳から18歳の福島県の調査において、約38000人中、3例の甲状腺がんが確定し、さらに細胞診陽性者を含めると10例の甲状腺がんあるいは疑い例が認められていた。一方で、小児の甲状腺がんの罹患率は1人/100万人。以下のような不安な声が出てくるのは十分に理解できる。
(1)「有病割合=3〜10人/4万人」は「罹患率1人/100万人」よりかなり多い。甲状腺がんは有意に多発している。
ただし、少し考えればわかるように、スクリーニングで見つけ出してきた癌は、症状が生じて医療機関を受診し発見された癌よりも多いはずである。よって、以下のような反論がなされた。
(2)有病割合と罹患率とをそのまま比較はできない。有意に多発とは言えない。
これはもっともな主張であるが、言えるのは「多発とは言えない」ところまでで、「多発でない」とも言えない。本来は比較できない有病割合と罹患率を比較するために、津田敏秀先生が(2)に反論して以下のような主張を行った(■福島県での甲状腺がん検診の結果に関する考察 ver.3.02)。
(3)有病割合と罹患率が異なることを指摘してそれで思考が停止している。有病割合≒罹患率×(D)という式と、初老の女性の胃がんのケースからD=7(年)として計算すれば、有意に多発と考えられる。
片瀬久美子さんが(3)に対して以下のような反論を行った(■福島県での甲状腺がん検診のこれまでの結果で、甲状腺がんの発生が多発と言えるのか? - warblerの日記)。
(4)成人の甲状腺がんの検診におけるデータから算出した「(D)」の数字を使えば、有意に多発とは言えない。
小児の甲状腺がんの有病割合を推定するのに成人の甲状腺がんの検診におけるデータから算出した「(D)」の数字を使うのは不適切であるが、「津田氏の方法に合わせた」だけである。それを言うなら初老の女性の胃がんのケースから算出した「(D)」の数字を使うのも不適切であるわけで。
付け加えさせていただければ、有病割合≒罹患率×(D)という式を適用するなら、はたして小児の罹患率の数字をそのまま使っていいか、という問題提起を私が行った■「有病割合≒罹患率×平均有病期間(D)」という式の適用可能性 - NATROMの日記。現時点では、有意に多発しているとかしていないとか、断言できないものと考える。
さて、ここで福島と他の地域で大差ないのではなかろうかと主張する新たな論者が出現したので紹介しよう。
■福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース(■(cache) 福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース)
片瀬久美子はこれ[引用者注:福島のがんの発生率は11倍も大きいという主張]に反論しているのだが、なんか反論の方もおかしい。先に俺の結論を書く。片瀬久美子が引用している
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
を見ると甲状腺の罹患率は男で10万人に3.4人だという。福島の発見率は3/38114でこれは10万人に7.9人となる。それほど大きな違いではないんじゃなかろうか。
無論両者の数値の意味は違う。福島の場合、診察した人間に対して癌と診断された人数。罹患率の場合は人口あたりの癌と診断されている人数。分母には診察に来ない人も含まれるから当然こっちの方が数値は低い。
それなら3.4と7.9ぐらいの差は出るのではないの?と。この後ややこしい計算をしなくても、それほど福島と他の地域で大差ないのではなかろうか。
甲状腺の罹患率は男で10万人に3.4人というのは、成人の罹患率の話である。「有病割合=3〜10人/4万人は罹患率1人/100万人よりかなり多い。甲状腺がんは有意に多発している」と主張している人ですら、小児と成人をごっちゃになんかしていない。「疑似科学ニュース」さんの主張は、周回遅れですらない。あえて言えば逆走である。
ここで「疑似科学ニュース」さんの主張を紹介した理由はだいたい推測していただけるものと思う。正直、関わり合いになりたくはなかったのであるが、「NATROMはコメントでこの片瀬久美子の計算は大きな問題はないと言っているが、ホントにちゃんと読んでるのか?」などと書いてあったため、ついウッカリ読んでしまい、読んでしまった以上、突っ込まざるを得なかったという次第。
あとは細かい間違い。
■福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース(■(cache) 福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース)
しかし…この(7.1/10万)というのは罹患率だよね。人口10万人あたり7.1人の甲状腺癌を患っている人がいるということ。甲状腺癌を患っていると診断されている人なのだから、当てはめるなら発見率の方なんじゃ?いや、これでいいのか?この点はよくわからん。
7.1/10万というのは罹患率だよ。でも「人口10万人あたり7.1人の甲状腺癌を患っている人がいるということ」じゃないよ。単位人口当たりの甲状腺がんを患っている人の割合は「有病割合」だよ。「発見率」については明確な定義はなされていないけど有病割合と解釈できる*2。罹患率と有病割合の違いすら「よくわからん」わけですな。
■福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース(■(cache) 福島の甲状腺癌の変な^2話 : 疑似科学ニュース)
0.49%というのは甲状腺癌の診断手法に関する記事のようだ。触診だと0.49%だが超音波だと0.72%といった比較の表がある。しかし0.49%の分子と分母はなんなのか?罹患率とかは10万人に7.1人とかなのに、0.49%なら1000人に5人だ。異常に大きい。
元記事を読むと所見者数に対して癌と診断された割合らしい。所見者数というのは、なんらかの理由で検査が必要ですよと判断された人らしい。
片瀬さんのブログからリンクされている論文(ちなみに日本語だ)に分子と分母がなんなのかちゃんと書いてある。分母は集団検診や人間ドックの対象者であり、有所見者数ではない。定義上、自覚症状がない人たちである。分子は有所見者や癌と診断された人の数。「0.49%なら1000人に5人だ。異常に大きい」とあるが、甲状腺がんをスクリーニングすれば、だいたいそんなものである。感度の高い検査をすればもっと「有病割合」は高くなる。このあたりは「相場観」の問題である。そもそも、リンクされてある和文論文すら読まない(さすがに読んでアレとは考え難い)という時点で問題があると思われるが。
関連記事
*1:厳密には偶然の検査で発見された患者を含むが、寄与としては小さいので無視する
*2:津田氏の「発見確率 3 人÷38,114人は、「がんの状態」の人を発見した確率です。これを有病割合(有病率)と呼びます」に準じる
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2013-05-31 ワクチン接種による胎児死亡率の増加が40倍?!
■[トンデモ][医学]「ワクチン接種による胎児死亡率の増加が4000パーセントを超えています!」

「妊娠中にインフルエンザのワクチンを接種した場合、胎児の死亡率は4250%アップ」*1というツイートがあった。プロフィールによれば「専門は動物の統合診療医&外科医」。
妊娠中にインフルエンザのワクチンを接種した場合、胎児の死亡率は4250%アップhealthimpactnews.com/2012/4250-incr…しかもワクチンはほぼ無効との報告naturalnews.com/033998_influen…さらにタミフルも効果が無いと問題化dailymail.co.uk/health/article…
— 森井啓二さん (@keijimoriiVet) 2012年11月27日
根拠は海外の反ワクチンサイト*2のようだ。"4,250% Increase in Fetal Deaths Reported to VAERS After Flu Shot Given to Pregnant Women"(妊娠女性に与えられたインフルエンザワクチン接種後のワクチン有害事象報告システムへの胎児死亡の報告が4250%増加)とある。どこから4250%なんて数字が出てきたのか興味があったので調べてみた。結論から言うと、Human & Experimental Toxicology誌に掲載されたGS Goldman氏による論文*3の表に由来するようだ。
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■Swine Flu Vax Increased Vaccine-Related Miscarriages 6-11 Times | Gaia HealthGaia Health
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2008/2009年のシーズンでは胎児死亡の報告は4例。2009/2010年のシーズンでは胎児死亡の報告は合計174例だが、そのうち4例は季節性インフルエンザワクチンのみ接種しており、H1N1ワクチンを接種した妊婦からの胎児死亡は170例。170/4=42.5。なるほど、そう来たか。ワクチンを接種された妊娠女性の数が年度で異なるのだから(2009/2010年のシーズンでは前年の約4倍の女性がワクチンを接種されている)このような単純な比較はできないのだが、そんなことは気にせずに「40倍!怖い!」と騙されちゃう人が想定「顧客」なのだろう。「動物の統合診療医&外科医」が「詐欺師」なのか「顧客」なのかはわからない。
ワクチンを接種された妊娠女性数あたりで比較すると、胎児死亡の報告は40倍ではなく11.4倍となる。これでも問題だと考える人もいるであろう。確かに胎児死亡そのものが約11倍であれば問題であるが、結論から言うと、ワクチン有害事象報告システムに補足された胎児死亡が約11倍であっただけで、実際の胎児死亡については何も言えない。おそらくは増えてはいないし、少なくとも約11倍とかいう数字にはならない。
考えてもみよ。2009/2010年のシーズンには妊娠女性の43%がワクチンを接種したのだ。もしワクチン接種によって胎児死亡が6倍になったとしたら、全妊娠女性で約3倍になる。気付かれないわけがない。アメリカ合衆国全体の胎児死亡の統計は発見できなかったが、発見した範囲内での各州の統計では、とくに2009年〜2010年にかけて胎児死亡は増えていない。一例として、テキサス州での胎児死亡率のグラフを挙げる。
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■Texas Department of State Health Services, Vital Statistics Annual Report, Mortality Narrativeより引用。テキサス州での胎児死亡率は2009年〜2010年にかけて大きな変化を認めない
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ワクチン有害事象報告システムへの報告数と、実際の有害事象の数の違いを明確にせず、「4250%アップ」とか「11倍」とか恐怖心を煽るのは、反ワクチン団体の常套手段である。ワクチン有害事象報告システムには、ワクチンとの因果関係が明らかでなくともワクチン接種後に有害事象が起これば報告してもよい。よって、有害事象の報告数は医師やワクチン接種者の意識に強く影響を受ける。「ワクチンが胎児死亡に関係があるかもしれない」という噂が広まるだけで、胎児死亡の報告が増えるだろう。
おそらく、2008/2009年のシーズンでは胎児死亡の報告が少ないのは、それまでは胎児死亡とワクチンの関係が疑われていなかったからであろう。胎児死亡との関係が注目されて2009/2010年のシーズンでは報告数が増えたが、翌年の2010/2011年のシーズンで胎児死亡の報告は約6分の1に減った。医師やワクチン接種者が「飽きた」ためだと私は推測する。
A-H1N1ワクチンが胎児死亡を増やさず、むしろインフルエンザ罹患を減らすことでリスクを減らす可能性があることが、複数の質の良い研究からわかっている。たとえば、■Risk of fetal death after pandemic influenza vi... [N Engl J Med. 2013] - PubMed - NCBI。日本語の要約は、■パンデミックインフルエンザウイルス感染またはワクチン接種後の胎児死亡リスク。「ワクチン接種そのものは胎児死亡率の上昇とは関連しておらず,パンデミック中のインフルエンザ関連の胎児死亡リスクを低減させた可能性がある」と結論されている。
これからも、反ワクチン団体は、ワクチン有害事象報告システムへの報告数と実際の有害事象の数の違いを利用し、不適切にワクチンへの恐怖を煽るであろう。最近、HPVワクチンの「副作用」に関する報道がなされている。HPVワクチンに無視できない副作用があろうとなかろうと無関係に、今後、HPVワクチンの有害事象の報告数は必ず増える。そして報告数の増加が反ワクチン団体に利用されると予言しておく。
関連記事(外部サイト)
■子宮頸がんワクチン副作用者数一覧?有害事象と副反応 - うさうさメモ
*1:URL:https://twitter.com/keijimoriiVet/status/273377921010380800
*2:■4,250% Increase in Fetal Deaths Reported to VAERS After Flu Shot Given to Pregnant Women | Health Impact News
*3:■Comparison of VAERS fetal-loss reports during three consecutive influenza seasons: Was there a synergistic fetal toxicity associated with the two-vaccine 2009/2010 season?(3連続インフルエンザシーズンのワクチン有害事象報告システムによる胎児死亡報告の比較:2009/2010年の2つのワクチンと関連した相互作用的な胎児毒性は存在するか?)
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2013-04-22 「有病割合≒罹患率×平均有病期間(D)」という式の適用可能性
■[医学]小児においては「有病割合≒罹患率×平均有病期間(D)」という式を適用するには注意が必要である

福島県の小児を対象として甲状腺がん検診において、10例の細胞診陽性者およびそのうち3例が甲状腺がんと診断された件について、有意に甲状腺がんが多いかどうかが議論になっている。
■福島県での甲状腺がん検診のこれまでの結果で、甲状腺がんの発生が多発と言えるのか? - warblerの日記
■福島の小児甲状腺ガンが意味するものを、スクリーニング効果までふまえて考えてみる。 - Togetter
「有意に甲状腺がんが多い」という主張の根拠の一つとして、
・有病割合≒罹患率×平均有病期間(D)
という近似式が挙げられている。平均有病期間を7年、あるいは3.6年と仮定すると、確かに有意に甲状腺がんが多いという結論になりそうだ。しかしながら、以下に述べるような理由により、小児においては「有病割合≒罹患率×平均有病期間(D)」という式を適用することができない場合もあると私は考える。■福島県での甲状腺がん検診のこれまでの結果で、甲状腺がんの発生が多発と言えるのか? - warblerの日記のコメント欄で述べた理由により、ここでは(D)を「癌がスクリーニング検査で検出可能な大きさになってから臨床的な症状を引き起こすまでの期間」と定義し、「平均有病期間」と区別するため「潜在期間」と呼ぶ。集団における疾病の発生状態が安定している場合において、
・有病割合≒罹患率×潜在期間(D)
という式が成立する点については、おそらくは異論はないものと考える*1。しかしながら、潜在期間が長い場合には、小児においてはこの式は成立しない。厳密に言えば「式が成立しない」というよりも、潜在期間が長い疾患についてはタイムラグがあるがゆえに、小児の罹患率を用いるのは不適切だということになる。極端な場合には、実測した有病割合と式から求めた有病割合の比が無限大になることもありうる。まずは説明のために仮想的な極端な事例を提示しよう。
潜在期間が長いため小児において「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」が成立しない仮想的な疾患の例
Mofmov型前立腺癌は特徴的な病理所見を示しその他の前立腺癌と明確に区別できる前立腺癌の一タイプで、特徴的な罹患率の年齢分布を示す。腹部エコー等のスクリーニングが行われていない時代にはMofmov型前立腺癌は自覚症状を呈してから診断されていた。その場合、成人においてはどの年齢層においても罹患率は10人/10万人年である。しかしながらこれまで19歳以下の小児のMofmov型前立腺癌の報告はなく、小児のMofmov型前立腺癌の罹患率はゼロである。
成人に対してスクリーニング検査を行ったところ、有病割合は100人/10万人であることが判明した。また、治療をせずに経過をみた症例の知見から、スクリーニング検査でやっと見つかるぐらいの大きさのMofmov型前立腺癌を放置すると10年後に自覚症状を呈することが明らかになった。つまり、潜在期間(D)は10年である。有病割合≒罹患率×潜在期間(D)という式にも合致する。さらに剖検(死亡者の前立腺を細かく刻んで顕微鏡で見る)での知見やダブリングタイム(腫瘍の体積が2倍になるのに要する時間)からの逆算により、最初の癌細胞が発生してからスクリーニング検査で検出可能な大きさになるまでの時間が10年であると推測された。まとめると、Mofmov型前立腺癌の自然経過は以下の通りである。
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Mofmov型前立腺癌の自然経過
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50歳でMofmov型前立腺癌を発症した人は、30歳の時点で癌細胞が発生し、40歳以降ならスクリーニングで検出可能であった。
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癌細胞の発生はどの年齢層においても10人/10万人年に起こっており、10年かけてスクリーニング検査で検出可能な大きさになり、さらにもう10年かけて自覚症状を呈するまで大きくなると考えると、小児において罹患率がゼロであるにも関わらず、成人においてどの年齢層でも罹患率は10人/10万人年であることが説明可能である。さて、小児に対してスクリーニング検査を行ったらどうなるか?
10歳まではスクリーニング検査を行ってもMofmov型前立腺癌は見つからない(ただし剖検を数多く行えば微小なMofmov型前立腺癌が見つかるであろう)。11歳時においては、スクリーニング検査でやっと見つかるぐらいの大きさのMofmov型前立腺癌が10万人あたり10人見つかる。12歳時においては10万人あたり20人となる(0歳時において癌細胞が発生した10人と、1歳時において癌細胞が発生した10人がその内訳である)。12歳時においては10万人あたり30人、と以下同様に、19歳時には10万人あたり90人となる。そのうちの10人は癌細胞の発生から19年が経っており、次の年には自覚症状を呈するようになる。
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Mofmov型前立腺癌の特徴的な罹患率の年齢分布を説明するシェーマ
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まとめると、小児0歳〜19歳に対してスクリーニング検査を行うと、10万人あたり22.5人のMofmov型前立腺癌が見つかる。これが実測した有病割合である。一方で、「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」という式から有病割合を計算すれば、小児の罹患率はゼロであるので有病割合もゼロである。「式から推測される有病割合と比較してスクリーニングで観察された有病割合が著しく大きいことから、環境ホルモンや被曝などの影響があるに違いない」などと考えるのは早計であろう。
なお20歳以降は10万人あたり10人の自覚症状のあるMofmov型前立腺癌が発生し、スクリーニングでは10万人あたり100人のMofmov型前立腺癌が見つかる。罹患率10人/10万人年、有病割合100人/10万人、潜在期間(D)10年となり、「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」という式が成立することを確認していただきたい*2。
実際の甲状腺がんについてはどうか
Mofmov型前立腺癌の例は、説明のためにきわめて単純で非現実的な仮定を置いた。現実の疾患はもっと複雑であるが、しかし、少なくとも小児の疾患に「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」という式を適用するには注意が必要であるであることは、ご理解していただいたと思う。
単純化した仮定の一つが、どの症例においても潜在期間が一律に10年だとした点である。現実の疾患は個人差があり、進行が早い症例では潜在期間が5年ということもあるだろうし、あるいは進行が遅く20年である症例もあるだろう。その点を加味し、潜在期間の平均が10年であるがばらつきのあるモデルをつくることも可能である。その場合、小児の罹患率はゼロにはならない。しかしながら、「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」という式から計算された有病割合と、実際にスクリーニングを行ったときに観察される有病割合が著しく乖離することには変わりがない。
単純化したモデルでは19歳まで罹患率ゼロであったが、20歳以降は突然に10人/10万人年となった。一方、潜在期間がばらつくモデルでは年齢が上がるにつれて連続的に罹患率も上がる。実際の甲状腺がんも年齢が上がるにつれて連続的に罹患率も上がっている。福島県でのスクリーニングの結果および実際の甲状腺がんの年齢別罹患率の両方を説明できるモデルを作ることも可能であろう。興味深くはあるが、「甲状腺がんが有意に多いとは断定できない」、とまでは言えても、「甲状腺がんは有意には多くない」ことを示す目的には使えない。潜在期間以外の仮定(たとえば癌細胞の発生はどの年齢層においても一定である、など)が正しいかどうかがわからないからである。
現時点で観察されている福島県での甲状腺がんの「多発」が、被曝によって甲状腺がんが有意に多くなったためか、それともスクリーニングによって掘り起こしただけなのか、現時点では判別できない。他の地域と比較するか、福島県のスクリーニングの2順目、3順目の結果を待つしかない*3。ただ、少なくとも、既知の小児の甲状腺がん罹患率から「スクリーニングで発見される甲状腺がんの有病割合」を推定するのは不適切であるとは言える。
関連記事
■タミフルで異常行動が半減するという厚労省解析は誤り 単純なモデルは複雑な現実を理解する助けになる
■閾値とかホルミシス効果とかをバナナで説明してみる 偉大な疫学者Mofmovの他の業績について
shinzor
素人なので,何か大きな勘違いをしているかもしれませんが,
「有病割合≒罹患率×潜在期間(D)」
の式の意味が理解出来ません。
有病者数とは,平均有病期間のD年前からその年までに発症した数の累計になるのではないでしょうか?
潜在期間がいくら長くても,平均有病期間が1年だと,有病者はその年に発病した者だけで累積しませんので,潜在期間は関係ないと思うのですが?
説明のシェーマには、発症までしか矢印が書いてありませんが、発症後から平均有病期間まで、矢印が伸びるのではないでしょうか。「罹患率×潜在期間(D)」は20歳以上の潜在者割合(図の水色部分の厚さ)になり、「有病割合」はその上部の発症後の厚さになるのではないでしょうか?
疑問は別にして,計算式は新たに発症する数と,治ったり死んだりする数が同じになる安定した状態を考えているので,潜在期間が長い場合は小児に適用出来ないという指摘は全くその通りだと思います。
それよりも,「有病割合」の有病者数に,自覚症状が出現した数以外に,自覚症状がなくても,スクリーニングで発見された数を含めるかどうかがはっきりしていないところに問題があるということでしょうか。
NATROM
(D)が「平均有病期間」(病気があると分かってから病気が治るまで、あるいは死亡するまでの期間)であったり、「潜在期間」(癌がスクリーニング検査で検出可能な大きさになってから臨床的な症状を引き起こすまでの期間)であったりするのが混乱の原因になっているようです。
津田敏秀先生は(D)を「平均有病期間」としましたが、スクリーニングで発見された疾患の有病割合を考察するときには「平均有病期間」は関係ないのではないか、というのが私の主張の一つです。それよりも「潜在期間」のほうが大事です。なので、このエントリーで示したシェーマは「平均有病期間」については一切示していません。Mofmov型前立腺癌の「平均有病期間」が長いのか短いのかは知りませんが、長かろうと短かろうとスクリーニングで発見された疾患の有病割合には影響しません。
>それよりも,「有病割合」の有病者数に,自覚症状が出現した数以外に,自覚症状がなくても,スクリーニングで発見された数を含めるかどうかがはっきりしていないところに問題があるということでしょうか。
注1に書いてありますが、ここで言う有病割合は「単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数」と定義しています。なので、ここでいう有病割合はスクリーニングで発見された数を含めています。というか自覚症状が出現した数は含まれていません。福島県のスクリーニングでもそうだからです。
「平均有病期間」と「潜在期間」とを言葉を変えて区別したように、「有病割合」についても別の名前をつけて定義しなおせば良かったかもしれません。たとえば「有症状者割合」と、(shinzorさんが使った)「潜在者割合」のように。この定義に従えば、式は以下のようになります。
有症状者割合≒罹患率×平均有病期間(D)
潜在者割合≒罹患率×潜在期間(D)
けれども、明らかに津田氏は「有病割合」という言葉を「単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数」として使っていますので、それに倣いました。「発症後から平均有病期間まで、矢印が伸びる」というのはその通りで、これは有症状者割合を示しています。ただ、今回の考察では有症状者割合については範囲外です。平均有病期間も範囲外です。
shinzor
解説ありがとうございます。
事情が少し理解できました。
事の発端に戻ると、「有病割合」という言葉の意味が定まっておらず、「潜在者割合」(単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数)を全く意味の異なる「有症状者割合」と比較して多いとか少ないと言っているということになるのでしょうか。
NATROM
大まかにはそうですが、そのあたりは実はややこしいです。
「平均有病期間」=「病気があると分かってから病気が治るまで、あるいは死亡するまでの期間」
「潜在期間」=「癌がスクリーニング検査で検出可能な大きさになってから臨床的な症状を引き起こすまでの期間」
「潜在者割合」=「単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数」
「有症状者率」=「単位人口年当たりの自覚症状を呈して医療機関に受診し診断された患者数」
としましょう。有症状者率は罹患率や発生率と概ね同じです(厳密には同じじゃないんですけどここを突きはじめると手に負えないので同じとします)。
福島の例なら潜在者割合=3〜10人/4万人ぐらいです。一方で、これまで小児甲状腺がんで知られていた有症状者率は1人/100万人ぐらいです(津田先生の用いた数字では)。
(1)「潜在者割合=3〜10人/4万人」って、「有症状者率1人/100万人」よりメッチャ多いやん。多発している!
という主張がまずありました。確かにこれが事の発端です。その反論として
(2)潜在者割合と有症状者率とをそのまま比較はできない。多発とは言えない。
という反論があり、さらに
(3)潜在者割合と有症状者率が異なることを指摘してそれで思考が停止している。潜在者割合≒有症状者率×(D)という式と、初老の女性の胃がんのケースからD=7(年)として計算すれば、やっぱり多発ではないか。
という反論がありました。この(3)が津田先生の意見です。
(4)成人の甲状腺がんの検診におけるデータから算出した「(D)」の数字を使えば、多発とは言えない。
片瀬さんの主張( http://d.hatena.ne.jp/warbler/20130323/1364060938 )が(4)です。成人の甲状腺がんの検診におけるデータから算出した(D)の数字を使うのは本当はダメなんですけど、それを言ったら初老の女性の胃がんのケースの数字を使うのもダメなんです。津田氏の計算が不適切であることを示すために、あえて「津田氏の方法に合わせた」計算をしたわけです。
(5)小児の甲状腺がんの潜在者割合が多いか少ないかを潜在者割合≒有症状者率×(D)をいう式で検討したいのであれば、(D)は平均有病期間ではなく、潜在期間であるべきだ。また、有症状者率も小児の数字をそのまま使うとタイムラグがあるがゆえに誤差が大きくなってしまう。
というのが私の主張です。
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2013-04-08 多焦点眼内レンズは混合診療可能だよ
■[医学]多焦点眼内レンズは混合診療可能だよ

日本経済新聞に混合診療解禁に関する記事が載った。経済界が混合診療の解禁に賛成の立場であるせいか、日本経済新聞にはその立場に沿った記事が載りやすいようだ。記事では、白内障の手術について混合診療が解禁されていないため高額な自己負担を強いられた患者さんの体験を紹介している。
眼科医がすすめたのは遠近ともに焦点が合う多焦点レンズ「レンティス」を入れる手術。一般的な単焦点のレンズよりも術後にまぶしさやにじみが少ないと言われ同意したが、料金を聞いて目を丸くした。
100万円――。公的な医療保険の対象にならないと聞かされたが、単焦点は10万円。こちらは保険がきくとはいえ、値段が違いすぎる。医師に詰めると「手術費だけでなく、保険適用のはずの手術前後の診療費や薬代もすべて自己負担になる」。渋々大金を払った。
からくりはこうだ。患者が医療機関の窓口で払うのは実際の医療費の一部。大半は公的保険で賄われる。ところが国が認めていない薬や治療法を使うと、本来なら保険で賄えるはずの診察や検査の費用も含め、患者がすべての項目で全額を負担しないといけない。
保険の適用外だけ自費で負担し、適用分は通常どおり保険で賄えばいい。だが、そんな「混合診療」は原則禁止だ。政府は2004年に混合診療の範囲を大きく広げると決めたが、実態は厚生労働省が一部の例外を認めてきただけ。それから10年近く。原則解禁の気配はない。
混合診療の解禁には、メリットもあれば、デメリットもある。明確なメリットとしては、(少なくとも一時的には)患者さんの選択肢が広がることである。日経新聞の記事を読んで、「混合診療を原則解禁にすれば、100万円もの大金を支払わなくても優れた多焦点レンズを入れられる患者さんもいるだろうに。混合診療を禁止するのはけしからん。混合診療を解禁すべき」と思う読者もいるであろう。
しかしながら、白内障に対する多焦点レンズの例を、混合診療を原則解禁する理由として挙げるのは不適切である。なぜなら、現在の制度でも「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は混合診療可能であるからである。厚生労働省のサイトにある「先進医療を実施している医療機関の一覧」*1には、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が可能な施設が250以上載っている。これらの施設では、「先進医療に係る費用」は全額自己負担であるものの、「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分は一般の保険診療と同様に扱われる。つまり、混合診療可能である。
日経新聞で紹介された事例では全額自己負担となっていたが、これは手術を行った医療機関が一定の施設基準を満たしていないためであろう*2。この患者さんは名古屋市在住となっていたが、愛知県には多焦点レンズを使った手術を混合診療で受けることができる施設が複数あることをきちんと説明された上で「渋々大金を払った」のだろうか。施設基準が設けられている理由は「有効性及び安全性を確保する」ためである。もし仮に混合診療が「一部の例外」に限られず、実質解禁されたとしよう。となると、一定の施設基準を満たさない、いってみれば未熟な技術しか持っていない施設であっても、手術前後の診療費や薬代を保険診療として多焦点レンズを用いた手術ができるようになる。
日経新聞の記事では、「医療現場に競争原理が働くから解禁に反対」という医師の声を紹介している。
話が大きくなりすぎた。当事者の声も聞きたい。「医療現場に競争原理が働くから解禁に反対」。岐阜県内の病院の勤務医(32)は明かす。最新の治療法を常に身につけていないと、混合診療を望む患者に応えられない。「腕の悪い医者には患者が来なくなる」
勤務医(32)の声は、捏造か、もしくは発言者の意図を捻じ曲げている可能性が高いと思う。考えてもみよ。内心は「医療現場に競争原理が働くから解禁に反対。腕の悪い自分のところには患者が来なくなる」と考えている医師が仮にいたとして、新聞社から意見を聞かれて正直にそう答えるだろうか。また、いたとしてもそのような医師は少数派であり、もっと他に混合診療解禁に反対する合理的な理由はいくらでもあるのに、こうした「当事者の声」のみを取り上げるのは不誠実である。
それに、少なくとも多焦点レンズを使用した手術については、混合診療が原則解禁されて有利になるのは基準を満たしていない「腕の悪い」施設である。多焦点レンズならまだマシで、混合診療が原則解禁されれば、効果の明確でない代替療法についても、代替療法以外の診療費や検査代を保険診療とした混合診療が可能になる。■死の淵から蘇ったのは混合診療のおかげ?でも述べたが、医療現場に競争原理が働いて勝つのは、治療技術が優れた医師ではなく、いかにも効きそうと患者に思わせることができた医師である。
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*2:施設基準を満たしていても届け出ていないという可能性はあるが、普通に考えればあえて届け出ない理由は考えにくい。いずれにせよ多焦点レンズが施設によっては混合診療可能であることを述べないのは記事として不誠実である
tesserac
手術した眼科医は別の施設にいけば混合診療が受けられることを患者に教えなかったんでしょうか?
さすがにそんな重要な情報を教えなければ、裁判されたら負けてしまうと思うのですが。
NATROM
そこ重要ですよねえ。記者は聞かなかったんでしょうか。混合診療可能施設の存在を説明されていたとしたら、「渋々大金を払った」ってのは変ですよね。説明されていなかったとしたら、まさしく医療においては自由競争ではうまくいかないことを示す好例と言えます。
放置医
眼科医による詐欺事件の三面記事あるいは捏造のどちらかだと思います。もしかすると日経社内の混合診療解禁反対派による逆キャンペーン?
通りすがり
誤解が入り込んでますね。
>一般的な単焦点のレンズよりも術後にまぶしさやにじみが少ないと言われ
一般的な『多焦点』のレンズよりも術後に・・・なら正しいです。
>多焦点レンズ「レンティス」
レンティスは日本で未認可の多焦点眼内レンズで、一般的に日本で使われている多焦点眼内レンズではありません。ヨーロッパ圏では結構メジャーなもののようです。なので、レンティスを挿入する手術の場合は先進医療は適用されませんので、術前・術後の診察費用も含めて自費診療になります。その点を記者さんはきちんと書かないとダメですね。
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2013-03-16 そんで、結局のところ、甲状腺癌の患者数は?
■[医学]そんで、結局のところ、甲状腺癌の患者数は?

福島県の子供に対する甲状腺検査において、2次検査で細胞診を施行された76名のうち、真に甲状腺癌であるのは何人か。既に3人の診断が確定しているため、3人以上だ、とは言える*1。前回のエントリーでは、陽性反応的中割合と「100%引く偽陽性率」を取り違えて計算してはいけないとは述べたが、じゃあ結局のところ甲状腺癌は何人ぐらいなのか、という話はしなかった。
細胞診で悪性または悪性の疑いがあるとされた10人中、既に3人が甲状腺癌と診断されている。となると、残り7人も甲状腺癌である可能性はそれなりに高いと考えられる。一方で、手術という侵襲的治療を行うからには癌を強く疑う所見(たとえば腫瘤のサイズが大きい、細胞診の結果が「悪性の疑い」ではなく「悪性」である、など)もあったはずで、まだ手術がなされていない7人については先に手術された3人よりも甲状腺癌である可能性は低いとも考えられる。
感度90%(偽陰性率10%)、特異度90%(偽陽性率10%)、検査陽性10名、検査陰性66名という数字から推測はできないだろうか。実は、前回のエントリーを書くにあたって、当初は以下のような問題を作っていた。
問題:甲状腺癌の2次検査の細胞診検査において10名が悪性、66名が良性と診断された。この検査の感度は90%(偽陰性率10%)、特異度は90%(偽陽性率10%)である。細胞診検査を受けた計76名のうち真に甲状腺癌であるのは何人か?
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診断陽性10人、診断陰性67人(計76人)、感度90%、特異度90%とすると、真に病気の人数は?
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陽性反応的中割合、陰性反応的中割合、事前確率(有病割合)*2は未知である。検査の感度・特異度が一定でも、事前確率(有病割合)が変われば陽性反応的中割合も変わる。そのため、当初は問題の答えとして「事前確率(有病割合)が不明であるので陽性反応的中割合も不明である。よって、この条件だけからは真に甲状腺癌である患者数は計算できない」と書いた。
しかし、表を見ているうちに、「もしかしたら方程式を立てれば解けるんじゃね?」と思えた。前回のエントリーに対してのコメント欄やブックマークコメントでも同様の指摘を受けている。実際にやってみたら、普通に解けた。病気ありの合計(真に病気の人数)を x とすると、感度・特異度は既知であるので、2かけ2表は以下のようになる。
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真に病気の人数を x とした場合の2かけ2表
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式は二つできるがどちらも結局は同じ式である。
・診断陽性:0.9x + 0.1(76-x) = 10
・診断陰性:0.1x + 0.9(76-x) = 66
方程式を解くと、x=3 となる。3.125とか2.875とかではなく、きちんと割り切れて3である。なんだこれ。なんか気持悪い。あまりにもできすぎなので、どこか間違えたかと思って何度も計算しなおしたけれども、たぶん正しいと思う。なんか間違っていたらご指摘してください。
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真に病気の人数が3と仮定すると、感度、特異度、診断陽性者数、診断陰性者数が矛盾なく説明可能
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そもそも、「感度90%特異度90%」という数字からして大雑把で今回の例に適用できるかどうかは明確ではない。さらに、上記の計算には既に3人が甲状腺癌と診断されているという情報は考慮されていない。ベイズの定理を使えば、この情報を加味した上で真に甲状腺癌である患者数の期待値の計算は可能なのかもしれないが、私の手には負えない。3よりも大きい数字になることは絶対に確かであろうとは思う。ただ、「診断陽性10人、診断陰性66人(計76人)、感度90%、特異度90%」という条件のみを考えるなら、真に甲状腺癌の人数として3人というのはありそうな数字だとは言える。
感度90%、特異度90%という、それなりに正確そうな検査で10人も診断陽性が出ておきながら、真陽性者がたった3人であるというのは直感的には正しくなさそうに思える。しかし、■特異度と偽陽性率と陽性反応的中割合とで論じたように、この手の問題ではしばしば直感は役に立たない。比較的わかりやすいと思われる説明は以下である。
検査を受ける76人が全員、真陰性者であると仮定しよう。特異度90%、つまり偽陽性率10%であるから、76人中、7.6人は検査陽性と出てしまう。ということは、76人中検査陽性者が7人とか8人とかであったなら、真陽性者がゼロであってもおかしくはない。実際には、検査陽性者数は10人であった。ということは、真陽性者はゼロではないだろうが、かといって9人や10人とかいうこともおそらくないであろう。
今後、細胞診検査で陽性であったが手術されていない7名や、細胞診検査では陰性であったが甲状腺に結節を有する66名は、慎重に経過を観察され、中には手術を受ける人もいるであろう。結果、甲状腺癌であったりなかったりすることが徐々に明らかになっていくだろう。甲状腺癌と診断される人数は現在の3人から、増えるかもしれないし、増えないかもしれない。ただ、3人のままで増えなかったとしてもそれほど不思議なことでない、という点をこのエントリーの結論としたい。前回のエントリーで指摘したように、陽性反応的中割合と「100%引く偽陽性率」を取り違えるという誤りに陥れば、3人で済むはずはないと思い込んでしまう。もし、将来において、この76人の集団の中から甲状腺癌と診断される人数が3人のままで増えなかったとしたら、「たった3人のはずがあるか。当局は隠蔽しているに違いない」などという主張も出てくるであろうが、あらかじめ反論しておく。
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shinzor
>そもそも、「感度90%特異度90%」という数字からして大雑把で今回の例に適用できるかどうかは明確ではない。
病気の可能性の高い子供を対象とした、2次検査ではなくて、1次検査の38,000人で同じように計算してみると、X=-4738人とマイナスになりました。
これは偽陽性率10%が妥当ではないからでしょうか?
仮に有病率0だとしても、3800人が陽性と出そうなところ、たった10人しかいなかったわけですから。
そこで、偽陽性率0%としてみたら、X=11人となりました。
結局、将来、3人より増えるか(あるいは10人より増えるか)どうかは検査の感度、特異度次第で何とも言えないという、まあ常識的な結論になるんですかね。
shinzor
1次検査なら,陽性は10人ではなくて,186人でした。
この場合でも,xはマイナスですが。
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>日本人における小児甲状腺がんの有病割合について、科学的な評価に耐え得る研究は過去に発表されていないのでしょうか?
今回の福島県のスクリーニングと比較可能な研究はありません。というのも、通常は症状のない小児に対して甲状腺のスクリーニングは行わないからです。
強いて言えば病理剖検による( http://d3j5vwomefv46c.cloudfront.net/photos/large/733775731.jpg?1361204176 )での、15歳〜19歳の甲状腺がんが0.48%(10万人対だと480人)というデータがあります。0.48%というのは有病割合に相当します。この数字は、小児を何万人とスクリーニングして数人から数十人の甲状腺がんが発見されたとしても異常な多発であるとは必ずしも断定はできないという傍証ぐらいにはなります。しかし、剖検はエコーよりも(たぶん)感度が高いこと、剖検となった症例は何らかの疾患を持っている傾向があるため通常より癌に罹りやすい可能性があることなどを考慮すると単純比較はできません。
>チェルノブイリ事故後2年の時点での、小児甲状腺がんの有病割合についてのデータ、及び、10ないし20年経った時点での、バックグラウンドの有病割合についてのデータはどうなっているのでしょう?
チェルノブイリの甲状腺がんについては私は網羅的に調べたわけではないので、これは詳しい方がいらっしゃれば私も教えを請いたいところです。「事故後2年の時点での、小児甲状腺がんの有病割合についてのデータ」は、おそらくは信頼できるものは存在しないと思います。私の理解では、チェルノブイリにおいては事故後4年目より小児甲状腺がんが急増し、当初はスクリーニングで発見数が増えただけだという意見もあったものの、最終的には被曝によるものであるというコンセンサスが得られたというものです。
バックグラウンドについては、事故後に生まれた(1987年〜1989年)小児9472人には甲状腺がんが見られなかった、という論文(2001年, Lancet 358 P1965)があります。スクリーニングの結果で甲状腺がんが見つからなかったのか、それとも有症状者がいなかったのか、私は本文を読める環境にないのでわかりません。関連する論文を探せばもっと目的に合ったデータが見つかるかもしれません。ただ、民族差やスクリーニングの精度の違いなどを考慮すると、傍証にはなっても福島データとの単純比較はできないでしょう。
ブログを見てもらえるとうれしいです。
第二次大戦前にヨーロッパでオーロラが見られたように、
アメリカでオーロラが見られました。
ダニエル書を合算し、
未来に起こることを書き記しました。
エルサレムを基準にしています。
2018年 5月14日(月) 新世界
2018年 3月30日(金) ノアの大洪水
↑
この期間に第三次世界大戦が起きています。
↓
2014年 9月17日(水) 荒らすべき憎むべきものが
聖なる場所に立って神だと宣言する
2014年 9月10日(水)メシア断たれる
↑
この期間に世界恐慌が起きています。
↓
2013年 7月3日(水) メシヤなるひとりの君(天皇陛下)
御国の福音が宣べ伝えられる
2013年 5月15日(水) エルサレムを建て直せという命令が・・・
天におられるわれらの父とキリスト、
死者復活と永遠のいのちを確信させるものです。
全てあらかじめ記されているものです。
これを、福音を信じる全ての方、
救いを待ち望む全ての方に述べ伝えてください。