センター試験 見直し含め議論へ6月6日 19時29分
政府の教育再生実行会議は、大学の入試改革などについての議論を始め、委員からは「現在のような一発勝負の選抜試験は好ましくない」などという意見が出されました。下村文部科学大臣は会議のあと、高校在学中に複数回受けられる「達成度テスト」の導入も視野に、大学入試センター試験の見直しを含めて議論を進める考えを示しました。
政府の教育再生実行会議は、総理大臣官邸で会合を開き、先月、国際的に活躍できる人材を育成するための施策についての提言を行ったのに続き、6日から大学の入試改革などについての議論を始めました。この中で、安倍総理大臣は「大学入試の在り方は国民の関心も極めて高いテーマであり、これからの時代に求められる力を育成するため幅広い観点から議論してほしい」と述べました。
このあと、出席した委員からは「知識が備わっているか見極めるためには、現在のような一発勝負の選抜試験は好ましくない」という指摘や、「複数回、受験ができる仕組みを整え、受験目的でない勉強ができるようにすべきだ」などという意見が出されました。
大学入試を巡っては、自民党の教育再生実行本部が、先に多面的な評価を実現するため、高校在学中に複数回受けられる「達成度テスト」を導入し、その結果と大学ごとに行う論文試験や面接によって合否を判定する仕組みに改めるよう提言しています。
会議のあと、下村文部科学大臣は、記者会見で「『達成度テスト』を導入する場合は、センター試験と二重の負担になることは避けるべきではないかという議論を省内ではしている。ことし9月くらいをめどに結論を出したい」と述べ、「達成度テスト」の導入も視野に現在の大学入試センター試験の見直しを含めて議論を進める考えを示しました。
大学入試巡る動き
大学入試は昭和50年代の初めまで大学がそれぞれ個別に行っていましたが、受験競争が激しくなるのに伴い難問や奇をてらった問題が相次いで出されるようになりました。
このため高校までの学習で身につけるべき基礎的な学力を判定しようと昭和54年度に導入されたのが共通一次試験です。
当初は国公立大学の受験生を対象に5教科7科目をすべて受験する方式で実施されました。
平成2年度には現在の大学入試センター試験に変わり、少数の試験科目でも受験できるようにしたことから私立大学も参加するようになりました。
平成12年度以降は、学力試験を課さず、面接や高校からの調査書などで合否を判断する推薦入試やAO入試が広がり、大学入試の多様化が進み、現在は大学入学者のおよそ4割を占めています。
こうしたなか、大学生の基礎学力や高校生の学習意欲の低下が指摘されるようになりました。
また、大学入試センター試験についても、一回の試験だけで、1点刻みで合否を判定することの弊害も指摘されるなど、大学入試の在り方を見直すべきとする声が上がるようになりました。
このため文部科学省の諮問機関、中教審=中央教育審議会は去年9月に特別部会を設置し、「受験生の意欲や能力を総合的に評価するべきだ」として入試の在り方の検討を進めています。
自民党の教育再生実行本部も高校在学中に複数回受けられる「達成度テスト」を導入し、その結果と、大学ごとに行う論文試験や面接によって合否を判定する仕組みに改めるよう提言しています。
しかし、こうしたテストの導入にあたっては、現在の大学入試センター試験や高卒認定試験などとどのように仕分けるのかや、膨大な問題の作成を誰が行うのかが課題となるほか、テストを複数回行うことになり高校側の負担が大きくなることも予想されます。
また、「達成度テスト」の実施に伴い大学入試センター試験を見直す場合、現在、試験に参加している800を超える大学のすべてが個別に入試を行うのかなど課題も多く、今後、慎重な検討が求められることになります。
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