【香港=川瀬憲司】中国の銀行が高利回りの不透明な投資商品の取り扱いを急増させている。規制金利の網をかいくぐり、高い利回りで集めた資金をリスクの高い事業に回す仕組みだ。大手国有商業銀行4行の昨年末の取扱残高は日本円換算で45兆円を超えた。混乱を懸念する中国政府は27日に緊急の規制策を発表。28日の香港と上海の株式市場では銀行株が急落した。
高利回りの投資商品は「理財産品」と呼ばれる。満期まで1年未満で平均4%台半ばの利回りが得られ、高いものは10%近くになる。中国では当局の定める1年物の定期預金の基準金利が年3%にすぎず、高利回りに引かれ、個人や企業が理財産品を購入している。
中国工商銀行をはじめ大手4行の理財産品の取扱残高は2012年12月末時点で3兆元を超えた。4行の前期末の預金残高は計44兆元弱で、中国の銀行の預金残高の8割以上を占める。急速に膨らんだ理財産品は預金残高の約7%にあたる。
中国の2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比上昇率3.2%で実質金利はマイナスの状態だ。株価が低迷し、不動産投資にも規制がかかるなかで理財産品に自然と資金が流れ込む。
銀行は昨年夏の金利設定の一部弾力化を受けて預金金利を引き上げており、利ざや縮小の圧力が強まっている。このため新たな収益源の確保に躍起だ。工商銀の楊凱生頭取は27日の決算発表記者会見で「理財産品の発展は銀行にとって有意義であるだけでなく、大衆にも新たな投資手段を提供した」と述べた。
問題は集めた資金の運用先だ。インフラ開発プロジェクトを抱える地方政府や資金繰りが苦しくなった中小の不動産業者など、通常ルートでの貸し出しが受けにくくなっているところが中心だ。借り手側の資金調達が難しいため、高い利回りを設定することになる。その分貸し手側のリスクは高くなる。
実際、昨年11月には中堅の華夏銀行が扱った理財産品の元利金が期日に支払われず、投資家が上海市内の店舗前で座り込み事件を起こした。デフォルト(不履行)が発生した際に、銀行と投資家のどちらが責任を持つのかもあいまいなままだ。
事態を重く見た中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は27日、理財産品への監督を強化する通知を公表。「一部の銀行による貸し出し管理規制逃れ」などを指摘。各理財産品に対応する資産を個別にきっちりと管理することや、購入者に対する商品内容の十分な説明などを義務付けた。
これを受け、上海と香港で上場する四大商銀を中心に中国の銀行株が軒並み下落。理財産品の取り扱い減少による収益への影響に加え、この問題の銀行経営に与えるリスクを市場が感じ取ったためだ。上海では中国農業銀行が4%強下げたほか、興業銀行や中国民生銀行など一部の中堅行が10%前後の大幅安となるなど不安が広がった。
上海総合指数は前日比3%安い2236.302と、昨年12月28日以来の安値で取引を終えた。
高利回り、中国工商銀行、銀行、楊凱生、利回り、中国、理財産品、中国農業銀行、華夏銀行、中国民生銀行
日経平均(円) | 12,877.53 | -26.49 | 7日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 15,248.12 | +207.50 | 7日 16:39 |
英FTSE100 | 6,411.99 | +75.88 | 7日 16:35 |
ドル/円 | 97.55 - .58 | +0.97円安 | 8日 5:48 |
ユーロ/円 | 128.97 - .04 | +1.04円安 | 8日 5:49 |
長期金利(%) | 0.860 | +0.025 | 7日 16:13 |
NY原油(ドル) | 96.03 | +1.27 | 7日 終値 |
各種サービスの説明をご覧ください。