【社説】原発汚職の内部告発者には報奨金を

 韓国政府は、7日の時点で建設中あるいは稼働中の28カ所の原子力発電所について、ここ10年間に納品された部品の試験結果報告書全てを対象に、偽造などがなかったか検証すると発表した。対象となる報告書の数は12万5000件以上。また民間の試験機関が行った部品の性能試験についても、国立の研究機関で再試験を行うこととし、さらに韓国水力原子力や検証機関などの退職者が、関連会社に再就職することも禁止すると発表した。

 昨年3月に古里原発で停電が発生し、これが隠蔽(いんぺい)されていたことが明らかになった直後、原子力安全委員会は「安全改善対策」を発表し、直後の4月には知識経済部(省に相当)が「原発運営改善総合対策」を発表した。その後も部品納品関連の汚職が相次いで摘発されると、7月には韓国水力原子力が「刷新対策」を発表。さらに今年1月には知識経済部が原発部品検査報告書の偽造事件と関連して「原発産業革新案」を発表した。今回発表された対策には責任者の処罰、韓水原の組織刷新、退職者による関係会社への再就職制限など、従来の対策に含まれていた内容の焼き直しも多い。今後数カ月の間に原発で再び何らかの問題が発生した場合、政府はまた以前の対策を組み合わせ「新しい対策」と称して発表するのではないだろうか。

 国民が今最も関心を持っている点は、稼働中の原発23基が果たして本当に安全なのかという点だ。今回、制御ケーブルの検査報告書が偽造されていた事実も、試験機関の担当者が情報を提供したことで明らかになった。しかもこれらの汚職は氷山の一角である可能性もある。報告書の全数調査も必要かもしれないが、それとは別に原発の安全に直結する重要設備が、非常時に外部からの衝撃に耐えられるのかなど、想定外の極端な状況を念頭に置いた評価検証作業も必要だろう。

 これまで確認された内容を見ると、原発部品の供給に関するダブルチェックのシステムはほぼ機能していなかった。部品を承認する権限を持つ韓電技術(韓国電力の子会社)の退職者が検査機関の大株主になるとか、あるいは部品メーカーが試験機関を選び、仕事を与えるという構造がそもそもおかしい。原発の作業員が部品の注文、購入、検収前の過程に関与する今の方式が続く限り、原発作業員と部品メーカーが癒着するのは絶対に避けられない。

 原発の稼働はわずかのミスも許されない。たとえ時間と費用がかかったとしても、原発の安全については三重・四重の検証・検査・管理のシステムが必要だ。また原発内部の汚職が告発された場合、告発者には、それまで汚職に関与していたとしてもある程度それをなかったことにすると同時に、高額の報奨金を与えるなどの方策も必要だろう。

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