不法投棄:クマ出没の知床に食べ残し弁当 北海道警が捜査
毎日新聞 2013年06月07日 20時23分(最終更新 06月07日 23時21分)
◇野生動物への餌やり、生ゴミ投棄問題に
世界自然遺産・知床の北海道斜里町で1日、食べ残しの弁当などのゴミが道路わきに捨てられていたことがわかった。ゴミに誘われたヒグマは人間に危害を加える恐れがあり、この日は、地元関係者が野生動物への餌やり禁止を観光客に訴えたばかりだった。知床財団は心ない行為をやめるよう呼び掛ける一方、道警斜里署は廃棄物処理法違反の疑いで捜査している。
知床財団によると、ゴミは1日午前9時半ごろ、斜里町岩尾別の知床五湖へ向かう途中の道道わきの斜面で、職員が発見した。段ボール箱3個に入った形で、コンビニ弁当容器16個やペットボトルが捨てられ一部は箱の外に散乱。ご飯やおかずの食べ残しもあったが、動物が食べた形跡はなかったという。
知床では以前から、観光客などによる野生動物への餌やり、生ゴミの投棄などが問題となっている。一度人間の食べ物の味を覚えた動物は次第に人間を恐れなくなり、人里に何度も出没する可能性が高まるためで、過去には同様の経緯で現れたヒグマをやむを得ず射殺したこともある。
1日は、斜里町と羅臼町を結ぶ「知床横断道路」(国道334号)が約7カ月ぶりの開通を迎えた日。知床財団などはこれに合わせて、午前9時の開通前から「えさやり禁止キャンペーン」を実施し、ゲート前で待機するドライバーにチラシを配布したばかりだった。
ゴミを発見した職員によると、その後、目立ったゴミ投棄は確認されていないが「生ゴミ投棄は結果的に餌付けと同じ。餌に慣れたクマは人前に出てくるようになるので、絶対に不法投棄はやめてほしい」と強く訴えている。【山田泰雄】