中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年06月06日
■ガーナの黄金で中国の貧困県がみるみる豊かに
2013年6月6日、ガーナで黄金の違法採掘に従事していた中国人124人が逮捕された。強制送還される見通しだ。新京報が伝えた。
ガーナのミニ・ゴールドラッシュ for Chineseは2006年に始まった。広西チワン族自治区南寧市上林県出身の中国人が黄金採掘で成功したのをきっかけに、上林県の住民が次々とガーナに向かった。現在、ガーナには2~3万人の中国人が住んでいるが、そのほとんどが上林県の出身者だという。広西チワン族自治区の貧困県だった上林県も、黄金ラッシュの成功者たちの送金でみるみる豊かになっていった……。
というだけで話が終わっておけば、チャイナーズドリームかアフリカンドリームかチャイニーズアフリカンドリームのいい話で終わっていたのだが、問題は多くが違法採掘だったということにある。小規模の金鉱採掘はガーナ人にしか認められておらず、正規の許可を得た中国企業は6社だけ。しかし「ガーナ人の経営者に中国人が採掘機会を貸している」という形式で、実質的には中国人が経営しているケースが少なくなかった。ガーナの黄金生産量は年90トン程度。その過半数は中国人が掘り出しているという。
中国人の違法採掘は以前から問題になっていたが、採掘に伴う環境破壊、水質汚染も深刻化するなか、ついにこのたびガーナ政府が取り締まりに載りだした。これまでに124人が逮捕されている。強制送還される見通しだというが、賠償金や違法採掘者の財産の扱いについてはまだはっきりしたことはわかっていないようだ。
■逃亡なう
という話なのだが、「よっ、グローバル化っ!」と思わず感嘆してしまうネタがあったのでご紹介。なんとガーナの違法採掘者の皆さんが携帯電話を使って、逃走中の自分の写真やら何やらをアップしたり、中国メディアにたれ込みしているのだ。もちろんその中には虚偽の情報も多々あると思われる。この写真について6日付人民網がまとめている。
*カカオ林に逃げ込んだ中国人の皆さん。カカオとバナナだけで3日間生きのびたという話もあったが、カカオってそのまんまで食べられるのだろうか。
*銃と携帯は手放せません……。もっとごっつい銃を持っている写真もありました。
*捕まった中国人の写真、とのこと。入れ墨やばい……。
*逮捕された中年女性。
*虐げられる中国人……多分。
*家も燃やされた。
■ガーナ発の情報戦
ヒマでやることがないので「逃亡なう」とかつぶやいている……わけではない。記事「「悪い村役人、少女を市中引き回しに」話題のニュースの裏側を読む、ネット情報戦で官僚を討った村人―中国」で詳しく説明したが、同情をひいて注目を集め世論を動かすための情報戦という意味合いが濃い。実際、「隠れているくさむらをAK47で掃射された。女性一人が重傷」といった噂も飛び交っているようだ。ただし駐ガーナ中国大使館によると、現時点では負傷者は確認されていないという。
中国のネット世論の反応やいかに?と気になってマイクロブログをのぞいてみれば、「軍を派遣して中国人を保護せよ」といった期待通りの反応もあったが、「違法採掘者だし、環境破壊しているし、強制送還は仕方なく?」という反応も結構目立った。もともとの経緯が経緯だけにいまいち同情しきれないということのようだ。
なおアジア開発会議直後というタイミングだけに「安倍外交でガーナが手のひらひっくり返して中国を叩いたんだよ」というつぶやきもあったこともお伝えしておく。
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やはり日本は悪いです(棒wwwww