東証終値1万3000円割れ:株高帳消し 正念場
毎日新聞 2013年06月06日 23時52分(最終更新 06月07日 00時57分)
6日の東京株式市場の日経平均株価は前日の米株下落などを嫌気し、前日比110円85銭安の1万2904円02銭で取引を終了、約2カ月ぶりに1万3000円を下回った。株価は1100円超急落した5月23日を起点に下落基調が続き、6日の終値は日銀が4月4日に決めた異次元緩和による上昇分をほぼ打ち消す水準に切り下がった。成長戦略への失望感も重なり、期待先行で進んだ「アベノミクス相場」は正念場を迎えている。【山口知】
6日の日経平均は、割安感の出た銘柄を買い戻す動きから一時前日比200円超上昇する場面もあった。しかし、投資家の間には、日本も含む世界的な株高を支えてきた米国の量的緩和策の早期縮小への警戒感が強い。アベノミクスへの期待感も薄れる中「買い材料に乏しく」(大手証券)、結局、東証1部の9割超の銘柄が値下がりした。
日本の株価は民主党政権の野田佳彦首相(当時)による昨年11月中旬の衆院解散表明をきっかけに上昇に転じた。自民党の安倍政権が誕生し、異次元の金融緩和やアベノミクスを打ち出すと、景気回復期待が高まり、日経平均は急落前の今年5月22日までの約半年間で8割超も上昇した。
上げ相場を主導したのは東証売買代金の約6割を占める外国人投資家。昨年11月から半年余りの買い越し額(買った額から売った額を引いた額)は約10兆円にも上る。ただ、東証の投資部門別売買状況(東京、大阪、名古屋)によると、日経平均が急落した5月第4週(20〜24日)以降、外国人投資家は2週連続で売り越している。
背景には、決算期を控えたヘッジファンドなどの利益確定の動きがある。今後は「益出しを済ませたファンドなどが日本株を再び買い進むかどうか」(米系投資会社)が焦点だが、成長戦略への失望感も背景に海外ファンドには「アベノミクスに期待し過ぎた」との声も広がる。外国人の売りは国内投資家を動揺させ、市場の雰囲気は一変した。
一方、日経平均1万3000円割れに「期待先行の相場が調整され、国内投資家は買いやすくなった」との指摘も。為替相場が一時より円高に振れたとはいえ、輸出企業の想定に比べるとまだ大幅な円安。「企業業績の改善」(野村証券の若生寿一氏)に相場反転を期待する声がある。