宮城のニュース
イワナ店やむなく休業 原発風評直撃 栗原・耕英、熊谷さん
 | 休業を知らせる看板を見つめる熊谷さん。途絶えた客足が回復する気配は見えない |
|
岩手・宮城内陸地震(2008年)で被災し、生業を再建した宮城県栗原市栗駒耕英のイワナ養魚業熊谷昭さん(69)が今シーズンから、食堂・釣り堀の営業や養殖を休止した。福島第1原発の風評被害が影響した。1968年の開店以来45年間、耕英地区の観光スポットとして知られた店の突然の休業。震災復興の途上にある地域住民からは、休業を惜しむ声が漏れる。
「東日本大震災から2年間頑張ったが、客足が上向かなかった」。熊谷さんは休業に至った理由をそう語る。 熊谷さんは内陸地震でイワナの養殖池などが被災したが、1年9カ月後の10年3月に店を再開。いったんは業績が上向いたが、大震災と福島第1原発事故による放射能の風評の影響で客足が激減した。 ピーク時には年間約2000万円あった売り上げが、1000万円以上も減少。養殖池や浄化槽の維持管理費がかさむ上、客足に回復の兆しがまったく見えず、経営の継続は困難と判断した。 呼吸器に持病を持つ自身の体調や、男児2人の子育て真っ最中にある長男夫婦の事情なども決断を促した。4月20日には、来訪者への礼を記した看板を店舗前に設置し、出入り口をチェーンで封鎖。長男(40)は先月、大崎市内の会社で働き始めた。 耕英地区の金沢大樹区長(70)は「(内陸地震で被災した)駒の湯とともに耕英地区の観光を担っていた中心的存在だっただけに残念だ。休業の決断はさぞ悔しかったことだろう」と思いやる。 「人の流れが回復しない限り、再開は難しい」と熊谷さん。ただ、環境が好転した際は営業が再開できるよう、養殖池の水は抜かず、当面そのままにしておくという。
2013年06月07日金曜日
|
|