メカAG 放射線の健康影響をめぐる誤解 | SYNODOS -シノドス- - Part 3 http://synodos.jp/science/1568/3 | しかし、このモデルによって算出された集団内の死亡数は、ごく低い線量の範囲では健康影響が不明瞭なので正確さに欠けており、特に個々の人がガンで死亡する危険性を見積もるための目的で数字を出して使うのには適していません。片瀬久美子のこの箇所の文章はなんど読んでもおかしい。集団線量の話しなのに「個々の人がガンで死亡する危険性」とある。よくわからないが普通に考えれば「個人の発癌率」ということになる。なぜ集団線量の話に突然個人の発癌率の話が出てくるのか。意味不明だし、むしろ誤解を招くから、削除すべきではないだろうか。あるいは意味をわかりやすくする説明を加えるべきだろう。集団線量なのだから、個人の発癌率の算出に使えないのは当たり前なのに、この文脈では、なにやら集団線量の信頼性の問題で、個人の発癌率の算出に使えないかのような印象を読み手に与える。 * * *それとも「特に個々の人が~」は「集団内の死亡数は」からつながるのではなく、「このモデル」からつながってるのだろうか。「このモデル」というのはLNT説だから、2つの文章が一緒くたになってるのだろうか。 1) LNTモデルによって算出された集団内の死亡数は、ごく低い線量の範囲では健康影響が不明瞭なので正確さに欠けている。 2) LNTモデルはごく低い線量の範囲では、特に個々の人がガンで死亡する危険性を見積もるための目的で数字を出して使うのには適していない。1番目の文は集団線量の話で、2番目の文は低線量域におけるLNT説そのものの話。これなら正しいかどうかはともかく、言わんとしていることはわかるが。で、2番目の文は低線量域ではLNT説にもとづいた個人の発癌率の算出はすべきではないという主張になる。これならなおさら閾値説なのではなかろうか。片瀬久美子は「適していない」と「否定」は違うとかいってたけど…。それに引用しているUNSCEARやICRPの文書は、あくまで低線量における集団線量の有効性の話であって、低線量におけるLNT説そのものの有効性の話ではない。低線量域における個人の発癌率の算出にLNT説を使用するのは不適切だとは書いていない。片瀬久美子の個人の見解を述べるのは自由だけど。 * * *いずれにせよ、こんなにいろいろな解釈ができてしまう記述は、読み手に不親切であり改めるべきだろう。