8回裏2死二、三塁、逆転の15号3ランを放ち、代走鈴木尚(左)とハイタッチする阿部。捕手鶴岡=東京ドーム
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◇巨人4−2日本ハム
巨人が阿部の一発で3連勝。1−2の8回2死一、二塁から重盗で好機を広げ、阿部が右越えに15号3ランを放った。3番手のマシソンが今季初勝利を挙げ、西村が14セーブ目。日本ハムは失策から逆転を許し、ワーストタイの借金10。
思わず決めぜりふを忘れるぐらい、完璧な手応えだった。お立ち台で本塁打の感想を聞かれた巨人・阿部は「なかったです」。手に感触が残らないほど良い当たりだったため、お約束の「最高です」を言い忘れるハプニング。ひとしきり大観衆を笑わせると「やっぱり言った方がいいですか? 最高です!」と、今度はきっちりと締めくくった。
1点を追う8回だった。2死二塁から3番・坂本が敬遠気味の四球。「来た来た来たって感じ。(坂本の)カウントが2ボールになったところでスイッチを入れました」。気合十分で打席に入ると、代走の鈴木と坂本が初球に重盗。一打逆転のチャンスに変わるとバットを一握り短く持った。「よりコンパクトにというつもりでいった。低めは捨てていく意識だったけど反応したね」。石井の内角低め速球を右翼席に突き刺さし、右手を高々と掲げた。
名シーンが交錯した一打だった。日本ハムと激突した昨年11月の日本シリーズ第6戦。同じ東京ドームで、同点の7回に石井から日本一を決める決勝タイムリーを放った。今年3月のWBC準決勝・プエルトリコ戦では、2点を追う8回1死一、二塁の阿部の打席で重盗を仕掛け、失敗。3連覇の夢がついえた。ただ、2つの場面ともに「まったく頭になかった」と阿部。目の前だけに集中し、結果を出した。
原監督も「見ていて鳥肌が立つような素晴らしい勝負」と絶賛した一打で3連勝。5日も小笠原の代打本塁打でサヨナラ勝ちするなど、粘りの姿勢が戻ってきた。交流戦の成績も8勝9敗1分けとし「まだ交流戦優勝もあきらめてない。全部勝つつもりでいきます」と阿部。奇跡の交流戦V2へもう止まるつもりはない。 (臼杵秀之)
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