ムカデ対策について飼育経験に基づく効果的な手法をご紹介いたします。
はじめに
日本列島が梅雨に入る5月頃から秋雨の終わる10月頃まで、気温の上昇とともに様々な嫌なムシたちも活発に活動を始めます。不快害虫の出現により不快指数は120%に・・・・・・
さて、そんな梅?時に出てくる代表がムカデ。足が21対もあり強靭な毒牙をもっています。咬まれると焼けるように痛く、患部が倍ほどに腫れ上がります。ムカデの毒はスズメバチのそれに近く、タンパク質を分解したり、血液中の血球を溶解したりする複数の酵素を含んでいます。そのため、赤ちゃんや幼児が咬まれると非常に危険です。
そんな厄介者のムカデですが、実は子煩悩な一面ももっています。親ムカデは卵を産むと、卵が地面に付いてカビが生えないように自分の背中にのせて抱きかかえます。そして絶えず舐めて清潔に保ちながら子ムカデが孵るのを待ちます。子ムカデが生まれると一人前に餌を獲れるようになるまで親ムカデが餌を与え続けます。
ところで、ムカデは一匹いるともう一匹いるなどと言われますが、これは夫婦でしょうか? それとも親子でしょうか? はたまた姉妹でしょうか?
実は、ムカデの家族は母子家庭なんです。父ムカデは手当たり次第にプロポーズするだけで夫婦生活にも育児にも参加しません。母ムカデはそんな父ムカデを、それでも気に入ったなら受け入れ、自ら母子家庭を選択するのです。父親のいない子ムカデですが、母親の一身の愛情を受けてすくすくと育ちます。そして2回の脱皮ののち親離れし単独生活へ、およそ3年の時を経て親になるのです。
ムカデは本能的に動く物を襲う捕食者です。そのため、父ムカデも油断すると母ムカデに食べられてしまうため、夫婦仲睦まじくとはいかないようです……。宿命とでも言いましょうか、父ムカデにも若干、同情します。
ムカデを飼育してみると意外にも様々な物を好き嫌い無くよく食べます。普段よく食べているゴキブリのほか、魚肉ソーセージ、煎餅、リンゴ、昆虫ゼリー、熱帯魚の餌などなど見事な食べっぷりです。そして、水もどこに入るのかというくらいよく飲みます。ただし、やはり危険生物であることに変わりはないため、取扱いは厳重に脱走防止措置を施した広いケージの中で、分厚い革軍手と火バサミで慎重に行います。一見すると私自身が“危ない人”に思われますが、生態をより深く知ることで、より効果的な対策を知ることができるのです。
それでは、そんな飼育経験を基にした、より効果的な対策をお伝えしましょう。
@ まず家の周りの湿気対策です。ムカデは乾燥に弱く、非常に湿った場所を好みます。そのため、雨上がりに水溜りになる場所や晴れた日でも湿っている場所に庭石や石垣などムカデの潜む隙間があると住宅への侵入リスクが高くなります。砂を盛ったり、排水溝を掘るなどして土壌の排水改善をしましょう。
A ムカデは集中豪雨でない限り、雨や風は平気です。そのため、雨天時は網戸にせず窓を閉め切り、玄関ドアや勝手口ドア下の隙間は、内側から乾いたタオルを押し当てて隙間を塞いでおきましょう。
雨上がりでも長雨で玄関周りが濡れているときは要注意です。
B ムカデは餌を食べると動きが鈍くなります。たとえ満腹にならなくともほとんど動かなくなります。逆に空腹時は動く物体目がけて猪突猛進します。そのため、門灯や窓の明かりに蛾など虫が飛んで来ると、一目散に壁を駆け上がり襲いかかります。狂乱したムカデを近付けないためにも、門灯や室内照明を虫の寄りにくいLED灯(電球色)に切り替えるなどして侵入リスクを下げましょう。
C ムカデは外気温15℃以上あれば正常に活動できます。若干肌寒い日でも平気です。天気予報で最低気温が15℃以上になったら窓のサッシの閉まり具合やズレ、ゴムパッキンの劣化など無いかよく点検しましょう。また、2階、3階でも関係ありません。
ツルツルした外壁でない限りどこまででも登ります。ご注意ください。
続いて、万が一、咬まれてしまったときの対処方法についてお伝えします。
@ 真っ先に42℃以上できれば46〜50℃の熱めの温湯シャワーもしくは流水を患部に当てながら幹部の外側から内側に向かって、皮膚内に注入された毒を絞り出します。非常に痛いですが、時間とともに迫り来る激痛を和らげるために必要な、極めて重要な応急処置です。お子さんが咬まれた場合も、泣きじゃくるのを我慢して絞り出すか、吸い出してあげましょう。
ムカデの毒には激しい炎症を起こす酵素のほか、ポリペプチドやヒスタミンが含まれており、これらは蛋白質で構成されているため42℃以上の熱により変性し、失活します。そのため患部を冷やす前の熱めの温湯による加熱処理が大変有効です。
A 温湯絞出しのあと、氷で患部を冷やしたまま速やかに病院へ向かいましょう。体長10cmを超える大型個体に咬まれた場合、皮膚内へ注入される毒の量が多いことから、子供の場合は特に危篤なアナフィラキシーショックのリスクが高まります。迷わず病院へ、なお、病院へ事前に連絡する場合は、ムカデに咬まれたとは言わずスズメバチに刺されたと伝える方が適切に処置してもらえます。
B できれば、事が起こる前に、虫毒アレルギーに詳しい病院を探しておくのが無難です。熱心な医師のいる皮膚科が最もお勧めですが、無ければ救急病院とし、地図で場所を確認したうえで所要時間も調べておきましょう。そして、万が一の場合、自分で向かうことが無理ならば迷わず救急車を呼んでください。
続きましては、家の中でそれらしき姿を見てしまった、そして、逃げられてしまった場合の対処方法についてお伝えします。
@ まず準備として、比較的ムカデが集まりやすい水回り(浴室、台所、洗面所、トイレなど)の手の届く範囲に火バサミを常備しておきます。見つけ次第、捕獲し屋外へ放り投げるか、熱湯に漬け込むなどして殺します。
A ムカデは布団に入ることがありますが、彼らは好き好んで入っている訳ではありません。屋内に侵入し偶然見つけた隙間だったか、外に干しているうちに迷い込んでしまったかのいずれかです。そもそも湿気を吸い取る物体は好みません。布団を外に干すときは雨上がりを避け、干した布団は必ず夕方までに取り込むようにしましょう。
B ムカデは家屋内に侵入後、おもに夜間に餌を探して徘徊します。しかし、ゴキブリが発生している台所もしくは放置された食品でもない限り簡単に餌を見つけられません。すると、数日で空腹状態となり家中を走り回ります。その後、水を求めておのずと水回りへ向かい、顔を付けてゴクゴク飲める水が得られるとほぼ完全復活します。そこで、浴室、台所、洗面所、トイレにゴキブリホイホイなど粘着トラップを設置しておくことをお勧めします。なお、ゴキブリホイホイは入口の傾斜を切り取り、バリアフリー化して、粘着面の中心に1cm角に切った魚肉ソーセージを置きます。魚肉ソーセージの誘引効果で捕獲率が高まります。
C 改めて言いますが、ムカデは強い捕食性をもつ雑食性です。果物やお菓子も餌になることをお忘れなく、食品類は適切に管理しましょう。また、浴室床面の水滴はムカデの復活につながります。できれば拭き取って乾燥させましょう。
最後に、ムカデの繁殖生態から見出される侵入注意期間についてお伝えします。
3月以降、冬越しした親ムカデは活動を再開し、おもに5〜6月にかけて生殖行動を経て産卵します。
ムカデはいわゆる交尾はせず、雄ムカデは雌ムカデを、匂いを頼りに見つけ出し、精子の入った袋を置く網籠をつくります。準備ができると雌を誘い、合意が得られると雌を網籠まで誘導します。雄はそのまま立ち去り、雌は雄が残していった精子の入った袋を生殖口から取り込みます。これで貯精が完了しますが、受精は産卵直前に行います。
一度貯精した雌ムカデは、その後半年以上に渡り数回の産卵が可能となります。
一回の産卵数は平均20個、最大でも50個程度で、卵は1ヵ月前後で孵化します。孵化後も、独り立ちするまでは、母ムカデが献身的に保護します。 子ムカデは2ヶ月間に脱皮を2回して成長し、自力で獲物を採ることができる様になると親離れして母親の元を去ります。子ムカデはおよそ3年で親ムカデになりますが、その間に10回以上も脱皮を繰り返します。親ムカデの寿命は6〜7年と長く非常に強い生命力を持っています。
親ムカデの生殖行動が活発な5〜6月と子ムカデが親離れする9〜10月は住宅への侵入が非常に多くなるため、特に注意が必要です。
上記の対策を講じても手に負えない場合、殺虫剤を利用した駆除方法をご紹介します。
ムカデは多くの殺虫剤に対して感受性が低く、なかなか効きません。
ムカデに対して実用的な数少ない有効成分としては、β-シフルトリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、プロポクスルがあります。
例) 業務用ムカデ駆除剤 サイベーレ0.5SC (有効成分; β-シフルトリン)を
ラベルに従い希釈調整し、噴霧器を用いて建物外周ならびに窓枠、玄関ドア下に
散布します。
散布液はほぼ透明のため、建物の外観を損ねることはありません。
接触残効性はおよそ2週間程度です。
サイベーレ0.5SCに5秒以上接触することで最短2時間、最長4時間で死に至ります。多くの殺虫剤が効かないムカデに対して、極めて感受性が高く防除価の高い薬です。ムカデにお困りの方へ、自信を持ってお勧めいたします。
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本成分は、魚毒性が高いため、建物の至近距離に水田や小川、河川、池、沼、湿地などの水系がある場合はご使用にならないで下さい。
以上です。
少しでも皆様の参考になり、いくらかばかりでもご安心頂けたなら幸いです。