これは2012年にたまたま成立した偶然ではなく、一昨年(2011年)の選抜総選挙においても、その前年(2010年)の実績倍率を使うことで、選抜メンバーの顔ぶれをピタリと当てている。2011年は、投票総数が前年(2010年)の約38万票から3倍増の116万6145票にまで増えた大変化の年だったが、この法則性に揺らぎはなかった。速報で圏外だったメンバーの巻き返しを計算できない欠点はあるものの、上位メンバーについては十分な精度がある。
矢野式予測法でカギを握る「実績倍率」は、先行逃げ切りタイプと追い込みタイプの違いを数字で表現した、とでも言えるものだ。先行逃げ切りタイプは実績倍率の数字が低めで、速報段階では幸先よいスタートを切るものの最終の得票は伸び悩む。反対に追い込みタイプは数字が高めで、速報段階では順位が低くメンバーが不安に陥るが、蓋を開けてみるときっちり順位を上げてくる。
■2013年の最終結果はどうなるか
後者の追い込みタイプの典型例が小嶋陽菜だ。2011年は速報10位から最終6位、2012年は速報11位から最終7位に駆け上がった。2011年の実績倍率8.10倍、2012年の同10.21倍はグループトップクラス。2013年は20位と大きく出遅れているものの、この10.21が係数となるため、最終的な伸びに期待が集まる。
では2013年の最終結果はどうなるのか。
2013年の選抜総選挙。矢野式予測と速報の比較
指原莉乃がそのまま逃げ切り、20万票の大台に乗せてセンターに就く。2位に大島優子が巻き返すが、指原とは倍率7.21で並んでいるため、差が縮まらない。次世代エースの一角、島崎遥香が5位に入り、小嶋陽菜が10倍の威力で7位に滑り込む。SKEのW松井エース対決は珠理奈がリード。NMBはトップ10入りをめぐって山本彩と渡辺美優紀が競り合う。卒業が決まっている板野友美、若手を鼓舞するスピーチで会場を沸かせた篠田麻里子、総監督の高橋みなみは伸び悩む――。2013年も矢野式予測が通用すれば、これに近い結果になるはずだ。ただし速報の順位や得票数が世間の予想と乖離(かいり)して荒れ気味なだけに、矢野教授も「正直、当惑しています」と不安を隠していない。
なお2012年の実績がないメンバーについては一律5倍。2012年に速報圏外から最終64位以内に入っていれば6倍とした。一方、2012年に圏外ながら2013年の速報でいきなり8位に躍り出た柴田阿弥については、4倍を適用した。柴田については、ファンが投票初日に全力を挙げて投票し、速報で名前を知らしめることを狙う動きが少なからずあったようにうかがえる。ちなみに2012年、研究生ながら速報で30位に入った武藤十夢は、最終49位に終わり、得票の伸びは3.66倍にとどまっている。この数字を参考にした。
地域限定で多数の柄のTシャツをテスト販売し、開始2日目の時点で、全国展開する発注量を決めなくてはいけない――。この総選挙予測はそんなケースに似たところがある。企業のマーケター諸氏には、総選挙予測の当たりハズれよりも、まず何らかの法則性を見つけて予測を立てることの重要性を認識してほしい。データサイエンティストほどの統計学の素養はなくても、根拠に基づいた予測を立てることは十分に可能だ。
(日経デジタルマーケティング 小林直樹)
[日経デジタルマーケティング 2013年6月6日掲載]
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