六魂祭で経済効果 旅館、小売店売り上げ増 観光復興の弾みに
福島市に東北6大祭りが集結し、1、2両日に開かれた「東北六魂(ろっこん)祭」には、2日間で約25万人(主催者発表)に上る来場者があり、地域に経済波及効果をもたらした。市内の温泉地の旅館は軒並み満室状態で、小売店や飲食店も売り上げが大幅にアップする店が相次いだ。東京電力福島第一原発事故による風評被害に苦しんできた本県。関係者は観光復活に向け“六魂祭効果”を夏のシーズンへの弾みとしたい考えだ。
六魂祭の来場者が宿泊した市内の飯坂、土湯、高湯の各温泉旅館は、いずれも六魂祭前日の5月31日と初日の6月1日は、ほぼ満室だった。
両日の各施設の宿泊数は飯坂温泉で3~4割程度、土湯温泉で2割程度、それぞれ例年と同時期の週末を上回った。温泉地として比較的規模が小さく、例年満室になっている高湯温泉も約2カ月前には予約で埋まった。飯坂温泉のホテル聚楽の担当者は「ゴールデンウイークと夏休みの間で、観光客が減る時期なのでありがたい」と打ち明けた。
飯坂温泉への主要交通機関・飯坂線を運営する福島交通は1、2の両日、全駅乗り降り自由の1日フリー乗車券を販売したところ、当初予定の3000枚を大幅に上回る5000枚近くを売り上げた。通常より約40本増発する臨時ダイヤを組んだが、パレード開始時間近くには乗車できない人が出るほどだった。
土湯温泉は原発事故の風評被害で県外からの観光客が依然、例年並みに戻っていない。同観光協会の池田和也事務局長(55)は「多くの人が来県した事実が全国に伝わって風評が払拭(ふっしょく)されれば」と、本格的な観光シーズンが到来する夏を見据えた。
高湯温泉観光協会の永山博昭事務局長(57)は「近畿地方など遠方から初めて宿泊するお客もいた。今回できた縁をきっかけに、新たな客層の発掘につなげていきたい」と口コミ効果に期待した。
六魂祭から一夜明けた3日、福島市役所西側のメイン広場などの各会場では、業者がステージやテントの撤去を進め、同日中に作業が終了した。
市役所外壁に掲げられていた六魂祭開催をPRする長さ20メートルの懸垂幕も取り外された。
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