九回、サヨナラアーチを放ったマートンをホームで出迎える阪神ナイン(撮影・中川春佳)【拡大】
ハッピーエンドのドラマは、何度見ても泣けてくる。左翼席に吸い込まれる白球が描いた感動のクライマックス。マートンが決めた!! ゆっくりと本塁を踏むとナインから頭を叩かれ、もみくちゃにされた。歓喜の輪の中、乱れた赤毛こそヒーローの勲章。虎が2戦連続のサヨナラ勝利だ。
「オオキニ!! 本当に勝てて最高の気持ちでいっぱいデス。(2戦連続のサヨナラに)イイデスネ!! モウイッチョオネガイシマス!!」
球団通算100号となるサヨナラ弾に興奮を隠しきれない。敬けんなクリスチャンに“お告げ”があった。1-1で迎えた九回の先頭。牧田の初球のスライダーを空振りした。「!?」-。異変があった。
「前の打席(第3打席、遊ゴロ併殺)で詰まったときに割れていた。空振りでバットの向きが変わったときに気づいたんだ」
球審に訴えてバットをチェンジ。スプレーをかけて再び打席に入った。直後の外角スライダーをとらえて今季5号、来日4年目で初となる劇弾を運んだ。折れたバットなら真芯でとらえても、スタンドに運ぶなんて到底無理だった。
「ラッキーバットだよ。こんなことが起こるなんて思っていなかった。上で誰か(神様)が見ていてくれたのかな」