本来なら10分の1でいいはずの電波利用料を引き上げる---。3年に1度の定期見直しを利用して、総務省の"電波官僚"がそんな野望を伺わせている。
これに呼応して、孫正義社長が率いるソフトバンクモバイルが援護射撃を開始した。学識者が集まる検討会で、災害放送を義務付ける代償として設けられている放送局の電波利用料の割引制を、撤廃せよと迫っているのだ。
予想外に不本意な攻撃にされたNHKや民間放送局は、災害放送の重要性を説くなど防戦に躍起になっている。
だが、肝心の検討会の学識者でさえ、ソフトバンクモバイルの主張には、首を傾げる向きが多いという。
同社が、携帯電話の世界ではグローバルスタンダードの電波オークションを潰してタダで電波を占有しておきながら、会社ごとライバル会社の周波数まで買収する一方で、日本企業として有数の利益をあげているからだ。
ソフトバンクモバイルの主張が持つ意味と、電波利用料が本来あるべき姿を検証してみよう。
ソフトバンクは放送局を槍玉にあげるが
まず、ソフトバンクモバイルが展開している主張を紹介しよう。
同社は、総務省が4月22日に東京・霞が関の中央合同庁舎で開いた「電波利用料の見直しに関する検討会」(第3回会合)で、独特の主張を繰り広げた。
提出資料を見ると、「携帯電話も放送と同じく公共性を有している」「放送と通信の料額(は、)アンバランス」などとし、放送局だけが電波利用料の割引制度の恩恵を受けているのは不公平と決め付けて、「地上テレビジョン放送事業者に適用されている特性係数は廃止するべき」だ、という趣旨の主張を展開したのである。
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