TOKYO 異見
(2) みんな文句ばっかり
◆温かいメシと家 思いやりがあれば 幸せじゃないか
◇タレント 毒蝮三太夫さん(77)
――ラジオ番組で毎日、人の集まるところに出かけていますね。
「面白きこともなき世をおもしろく。そう思って番組を続けて44年だね。あさま山荘、よど号、大震災……。いろいろあったね。番組で行くのは東京が4割。俺は東京でメシを食っているようなもんだ」
――何を感じますか。
「今は食べ物や着る物に困らないし、路上で暮らす人もそう多くない。幸せな国じゃないか。俺は戦争で逃げ回ったし、イモの葉やリンゴの皮を食べてきた。(今の世に)何が文句あるのか、って言いたい。みんな文句ばっかり言ってるよな、議員や国に」
――新聞記者も、です。
「温かいメシとみそ汁、家族と隣近所、住み家があれば幸せと思わないか。人は満ち足りているから文句を言うんだよ。それより自分が社会に貢献できることをやったらどうか。年寄りは元気で長生きすること。医療費も下がる」
――都議選はどんな基準で票を投じますか。
「正直者が報われるようなことをする奴(やつ)。地元をぐるぐる回っていないとダメだ。都議、数が多いんじゃね〜か」
――定数は127人います。何を望みますか。
「無駄遣いをしないで、カネを年寄りや福祉に回せ。町を若者向けにつくりすぎだよな。こんな良い日本は年寄りがつくったのに。再開発後の渋谷駅は地下で迷いやすいし、東京スカイツリー関連施設の中も目が回るって聞いたよ。年寄りが楽しめる場所が少ない」
――都内の商店街もくまなくご存じでしょう。
「行き過ぎた規制緩和もあって、地の利が悪く、大型店に囲まれた商店街はいずれなくなるだろう。でも、歴史や観光が充実し、努力している商店街は残る。巣鴨だよ。高岩寺(とげぬき地蔵尊)が商店街のへそになり、年寄りは1日2万円使うんだ。巣鴨みたいな街をたくさんつくれば良い。六本木ヒルズに年寄りがたくさん来るとか」
――「都市化が進み、住民の絆が必要だ」という言葉をよく聞きますが。
「俺は江戸っ子の端くれだけど、絆を求めるなんてのは浮ついて嫌だね。番組でジジィ、ババァ、くたばりそこない……と発言しているけど、『蝮(まむし)さんは愛情があるからそう言っているんですよね』と言われるのが嫌なんだ。本当のことを言っているのに(笑)。おせっかいであり、お互い構い合っているんだよ。人は一人じゃ生きていけないから、相手を思いやり、構うことだよ。それが絆ってもんじゃないか」
どくまむし・さんだゆう
1936年生まれ。東京都出身。ウルトラマン、ウルトラセブンに出演、地球を守る役も。酒を飲むときは今も夜中の2時、3時まで。「規則正しい不摂生が健康の秘訣(ひけつ)。自分を良く見せようと思うスケベ根性がなくなっちゃダメだ」
◆次回は都政専門紙「都政新報」記者の森地明さん
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朝日新聞東京総局