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「ロータス人づくり企画」コーディネーター。元早大講師、微笑禅の会代表、探偵業のいと可笑しき雑談。
 

八王子五行歌会より、ネット歌会レポート報告など

2013年06月06日 23時09分22秒 | 芸術・表現

月刊五行歌が届きました。購読されていない人のためにここで公表します。(290〜291頁)。同点で複数が2,3席に入ったために感想はギリギリに押さえざるを得ませんでしたが、参加者も本部からも中々の好評で、次回は7月に入って直ぐに作品募集をする予定です。

本来、歌会はネットではなく会場に集まり、歌を詠んでその場で採点し、レポートを纏めて月刊誌に提出するもので、子供からお年寄りまでの生涯学習に貢献する活動です。公共施設を使う場合一人1000円〜1500円を徴収し(施設レンタル料+本部への協力金+雑費)、その後に茶話会や飲み会に移るのですが、当分は私のビルの事務所で行いますから参加費は500円(本部への協力金は300円)で月一回を予定しています。

NHK文化センター八王子教室で何年も五行歌の講座が続いてきたのに、何故か八王子にはリアルな歌会の場が育っていません。歌の技術を学ぶととともに生きる姿勢も学ぶのが五行歌運動です。ぜひご参加下さい。

五行歌の特徴の一つは初めての人の作品でも、それなりの必然で生まれたものと認識し添削をしない点にあります。もちろん質問があれば「こういう詠み方もある」という助言はしますが、指導者が直す、という方法は取りません。詳細は八王子五行歌会http://w01.tp1.jp/~a920031141/gogyouka.html をご覧下さい。

ちなみに私は子供の詠む五行歌が大好きです。あるサイトから三首を例示します。

 

    かげは         せみが          「べんきょうしなさい」

 

   なぜくろい       しんだのは        「しゅくだいしなさい」

 

   なに色でも       だれか          「おてつだいしなさい」

 

   よかったのに     いのちのはねに       おかあさん

 

   黒いんだ        ふれたから        「しずかにしなさい」

 

  (長谷部渚 7歳)    (小澤光希 5歳)    (きのうちしゅん 8歳)

 

 

大人には思いもよらない発想で、恐るべき子供たちですね。きのうちしゅん君の作品など笑ってしまいます。私自身の記憶を辿ると、25歳までは未知の体験があり、感動と驚きがありましたが、その後は大抵のことは過去に経験しているので、初々しく感動することが少なくなって、後は洗練して技術を磨いていけば間に合います。けれど、子供の歌は本当に生まれて初めて発見した感動が伝わります。長谷部渚さんは「かげの色」に感動した。小澤光希君は「せみの死」の理由を初めて考えた。きのうち君は、お母さんの命令がうるさくて、いつか言い返してやろうとニコニコ笑いながら初めて反抗ゴッコしてみた。その様子が手に取るように伝わってきます。まさに

思ふことつくろふこともまだしらぬ をさなこころのうつくしきかな(明治天皇御製)

の通り、繕わないからいいのですね。大人になると語彙も豊富になり多くの詩歌を知っているためにそれを意識したり、と余計な考えが混じってしまいます。子供は少ない語彙、つまり誰にでも分かる言葉を使って感動と発見をストレートにぶつけてきます。こういう面でも五行歌は子供でも大人でも年齢に関係なく対等に闘える?楽しい集いと言えるでしょう。
___________

八王子五行歌会 ネット歌会 
               那田尚史
                                  
五月三日(金)
 初めてのネット歌会を試みた。当歌会は今
のところネット専門。作品募集締め切りから
採点・感想までに一週間も時間がかかり、ネ
ットという文明の利器の脆弱性を身に染みて
知った次第。尤もこれを機に歌仲間が増えた
のは嬉しい。討議の結果、題詠自由とした。

桜(注:ルビで、はな)の
かけら
光になって
還るそら
霞む            GENTA(一席)    

平易ながら達者で奥深い。普通「春霞」と詠
うのを敢えて避け、春霞を分析統合して最小
限の言葉で表現したことで最高得点を得た。
 以下二席三席が複数同点で並んだため作
品を簡略表記する。

剔出せよ/血にまみれ/晒し者になって/
歌を/詠め         つだみつぐ(ニ席)

気迫に圧倒される。歌を詠むにはこれぐらい
の心構えが必要なのかと身が引き締まる。

東京に来てから/はや四年/古里の思い出/
引きずりながら/今を大切に生きる
みつる(二席)

平凡な歌だが被災者にも通じる複雑な思いに
共鳴が集まった。作者は来月93歳になる。

春田の/いつもの道で/銀マムシ/
清め塩を持つほど/怖くて、恐ろしくて、 
                   小倉(二席)

飯田龍太の『雲母』の巻頭を飾ったこともあ
る俳句達者の作品。三句までなら俳句だが4
句5句で恐怖感が強調され多くの共感を得た。
 
目を閉じ/遥かしのぶ/ふるさと/アカシアの花/
雨 斜め打つ かわせみ(三席)

芝桜/庭一面に/咲き乱れ/春の日差しを/
浴びて輝く カンジ(三席)
 
ここでは取り上げる余裕がなかったが所謂
「問題作」も面白く、子供の五行歌と共に既
成の美的概念をぐらつかせる点で大いに参
考になった。共感させる歌もいいし、意外な
歌もいい。リアルな歌会にも参加しつつ、ネッ
ト歌会の可能性を探っていきたいと思う。

<投稿者>沢辺温子、持国天、みつる、かわ
せみ、GENTA、沙菜子、桜井凜、カンジ、つ
だみつぐ、小倉、那田尚史、良さん
___________________

ジャンル:
コラム
キーワード
恐るべき子供たち 文化センター
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