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高野山案内犬ゴンちゃんが歩いた道
世界遺産の道、高野山・町石道(ちょういしみち)を歩く
高野山のふもとの町、九度山町の慈尊院から高野山・根本大塔まで、世界遺産の道・町石道が続く。この道は、高野山案内犬ゴンちゃんが参拝者を道案内した道。慈尊院で飼われていたゴンちゃんは、元は野良犬だったが、寺に住みつき参拝者を案内するようになったという。ゴンちゃんの足跡を訪ねて、モモちゃんと慈尊院から高野山へ世界遺産の道・町石道をのんびりとハイキング。 |
高野山の案内犬ゴンちゃん
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九度山町の慈尊院から高野山まで片道約20kmの道のりを参拝客を道案内する犬として、テレビなどのマスコミに取り上げられたことで有名になったのが「高野山案内犬ゴンちゃん」。参拝者の数メートル前を歩いて道案内をし、参拝者が遅れたり見えなくなると参拝者を待ち、姿が見えると再び先導するといった風に案内していた。朝、慈尊院を発って、夕方に高野山上の大門まで道案内し、夜には慈尊院に戻る毎日を送っていたようだ。
「高野山の案内犬ゴン 〜山道20キロを歩きつづけた伝説のノラ犬〜」関 朝之・作(ハート出版)によると、昭和60年代に、九度山駅と慈尊院を結ぶ途中にある丹生橋の近くに住みついていた白い雄の野良犬(紀州犬と柴犬の雑種)が、やがて慈尊院や高野山の参詣者・ハイキング客を案内するようになったとのこと。この野良犬は、慈尊院から聞こえる鐘の音を好んでいたため、いつしか「ゴン」と呼ばれるようになり、最初の頃は九度山駅と慈尊院の間を案内するだけだったが、1989年(平成元年)頃から慈尊院をねぐらとして、高野山町石道の約20kmの道のりを道案内するようになった。 |
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世界遺産・慈尊院の山門。境内は犬もOK! でも一声かけてネ
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弘法大師のお母さまのお墓がある「弥勒堂」
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ゴンちゃんが飼われていた慈尊院は、弘法大師のお母さまのお墓があることで知られている。それが境内にある世界遺産の「弥勒堂」で、お母さまのお墓の上に弥勒菩薩が安置されている。ご本尊の木造弥勒仏坐像は国宝で、ご開帳は21年に一度という秘仏。
慈尊院は女人高野と呼ばれ親しまれているが、その由来をご紹介。
お母さまが高野山上へ大師を訪ねようとされたが、大師は自らが七里四方を女人禁制としておられたので、山麓のこの慈尊院へ迎えられる。この地でお母さまがご本尊弥勒菩薩を尊崇された功徳によって、ご本尊様に化身されたという信仰となり、女人の高野参りは慈尊院までということから女人高野と呼ばれるようになった。慈尊とは弥勤菩薩の別名。「おみろくさん」と呼ばれる「弥勒堂」には、安産、子宝、縁結び、育児等を願い、乳房型の絵馬を奉納して祈願する女性が今も絶えることはない。
大師のお母さまは、6月5日に83才で亡くなられ、現在から考えると非常に長生きだった。このことから地元のご老人達は、お母さまほど長生きしたいと命日の5日にお参りされているそうだ。
慈尊院のお坊様によると、ゴンちゃんは、老衰のため2002年(平成14年)6月5日、お大師様のお母様の命日に亡くなったそうだ。27才というから、かなりの長生きだ。その2年前の、くしくも6月5日にやってきたのが、今、飼われているカイ君(現在7才)。だから慈尊院にとって、6月5日は大切な日になる。
カイ君は道案内することはないが、賽銭泥棒は追い払ってくれるらしい。いつも東門の脇に寝そべっている。Dog Magazine編集スタッフのモモちゃん(ボクサー犬・女の子)が、寄っていくと親しげに近寄ってきて相手をしてくれるやさしい犬だ。
慈尊院には、ペットの安全を願う「ペット御守」がある。高野山案内犬ゴンちゃんが描かれているので、モモちゃんも長寿をお願いして、御守をいただいた。 |
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慈尊院の愛犬、ゴンちゃんの二代目カイ君。
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ゴンちゃんが描かれている「ペット御守」
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慈尊院から高野山への参拝道、世界遺産の町石道(ちょういしみち)
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慈尊院の境内にある第一番目の百八十町の町石。ここが出発点 |
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弘法大師が母を訪ねて、高野山から慈尊院まで月に九度は歩いたといわれるのが町石道。九度山町の町名はこのことに由来しているといわれる。
町石道には、高野山への道標として1町(約109m)おきに石柱が立っている。高野山案内犬ゴンちゃんが道案内をしたのもこの道だ。
これは大師が、高野山へお参りする人の為に高野山上の根本大塔から慈尊院まで、一町ごとに木製の卒都婆を立て、真言宗のお教をあらわす仏さまの姿を象徴され、高野山の本街道の道標とされたもの。後鎌倉時代に現在のような御影石の五輪型卒都婆に建て替えられた。それぞれの町石には梵字が刻まれていて、かつて高野詣での人々はこの町石に一つひとつ手を合わせて登ったといわれている。
慈尊院から壇上伽藍の大塔までの約20kmの道のりに180基、大塔から奥の院御廟までの約4kmに36基ある。高さ約3m、幅33cmの大きなもので、町石にはその名の通り数字が刻まれ、その町石が高野山から何町かがわかるようになっている。慈尊院に第一番目の百八十町の町石があり、登りは慈尊院本堂が出発点で、下りは本堂が最終地点になる。
この町石道と、高野山から熊野への参詣道である小辺路と呼ばれる信仰の道が世界遺産として登録された。
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町石道は、ハイキングコースとして人気がある。慈尊院から根本大塔までの180町を踏破するコースは約20kmで、6時間半〜7時間はかかる。これはまさしく健脚向きのコース。モモちゃんはというと、これはとても無理。それで、途中の花坂の「矢立茶屋」から町石道を歩くことに。2時間余りのコース。このコースでも歩いていると、やはり疲れてくる。疲れてくると町石が見えてくる。これで残り何町という目安ができて、励みになって頑張れる。ほかの犬、いや参拝者の皆さんもそうだと思う。昔の人もきっとそうだったんだろう。やっぱり、お大師さんは偉いお坊さんだ。慈尊院から壇上伽藍の大塔までの180町を7時間かけて歩けば、ゴンちゃんのように長生きできるかも。 |
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モモちゃん待って!もうちょっとゆっくり歩こ!! |
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疲れてくると町石が見見えてくるので、また頑張れる |
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弘法大師が袈裟をかけたと伝えられる袈裟がけ石。この石のすきまをくぐることができると長生きできるらしい。大人はどう見ても無理みたい、でもモモちゃんはスーッと! これでモモちゃんは長生きするゾ |
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大門前の町石道。もう目の前が大門だ。高野山案内犬ゴンちゃんも、ここまで参拝者を道案内してきたのかも |
高野山を道案内していたのはゴンちゃんだけでなく、弘法大師を高野山へ2匹の犬が道案内したという伝承がある。「金剛峯寺建立修行縁起」に残る開創伝承によると、空海が修行に適した土地を探して歩いていたところ、大和国宇智郡(奈良県五條市)で、黒白2匹の犬を連れた狩人(狩場明神という名の神)に出会った。狩人は犬を放ち、それについていくようにと空海に告げた。言われるまま、犬についていくと、今度は紀伊国天野(和歌山県かつらぎ町)というところで土地の神である丹生明神(にうみょうじん)が現われた。空海は丹生明神から高野山を譲り受け、伽藍を建立することになったという。
高野山はもともと犬に縁のある信仰の山、それだけに犬にもやさしい。世界遺産の慈尊院、町石道はもちろん、高野山奥の院の弘法大師御廟にも犬と一緒に参拝できる。
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高野山大門の前で胸を張る?!モモちゃん |
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高野山奥の院を歩くモモちゃん。
神聖な場所だからね、オチッコはガマンだよ! |
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犬といっしょのハイキングや山歩きについての注意などわかりやいのでぜひ参考に!
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※この記事は2007年5月28日に作成したものです。
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