【ソウル=加藤宏一】北朝鮮が6日、南北当局間の対話を提案し、韓国政府が受け入れると表明した。これにより南北対話が1年9カ月ぶりに実現する見通しとなった。北朝鮮は、米中韓などの圧力が強まる中、対話姿勢への転換を鮮明にすることで事態打開を探っているようだ。ただ、焦点の核兵器を放棄する姿勢は見せておらず、今後の展開は曲折が予想される。
韓国の柳吉在(リュ・ギルジェ)統一相は同日夜の記者会見で、北朝鮮の対話提案を評価し、12日にソウルで南北の閣僚級会談を開くことを北朝鮮に提案したことを明らかにした。これに先立ち、7日から板門店の南北間の連絡窓口を再開するよう北朝鮮に求めた。
韓国青瓦台(大統領府)は6日、「開城(ケソン)工業団地など様々な懸案を解決し、信頼を積み重ねる契機になるよう願う」との朴槿恵(パク・クネ)大統領の談話を発表。この中で大統領は、自らの政策である朝鮮半島信頼プロセスが「発展的に続くよう望む」と指摘した。
南北の当局間対話が実現すれば、2011年9月に北京で6カ国協議の両首席代表が会談して以来で、朴政権としては初めてとなる。
北朝鮮の祖国平和統一委員会が示した対話提案は、稼働が止まった開城工業団地の正常化、08年の韓国人観光客射殺事件で中断した金剛山(クムガンサン)観光の再開、離散家族の再会などの人道問題を議題としている。
これまで操業が停止した開城団地を巡っては、韓国政府が、団地に残された韓国企業の製品や原材料搬出に関する当局間協議を提案。これに対し北朝鮮は、企業との対話には前向きな姿勢を示す一方で当局者対話は拒否する構えを示して韓国側を揺さぶってきた。
北朝鮮が対話路線に転換したのは、中国も含め国際社会の圧力が強まっているため。5月下旬に金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近である崔竜海(チェ・リョンヘ)人民軍総政治局長が訪中し、経済制裁の緩和を求めたとされるが、高麗大の洪官憙(ホン・グァンヒ)教授は「特別な成果もなく、失敗に終わった」と分析する。
6月7~8日にオバマ米大統領と中国の習近平国家主席が会い、下旬には朴大統領が訪中し中韓首脳会談も開かれる予定だ。「米中韓の協力体制が強まったことで、孤立を深める北朝鮮が状況を打開したがっている」(洪教授)。南北対話をまず実現させ、韓国からの経済支援を獲得する狙いもあるようだ。
ただ、北朝鮮は核開発を進める意志は崩していない。日米韓3カ国は6カ国協議の再開には、北朝鮮が核放棄に向けた行動を示す必要があるとの立場で一致しているため、核・ミサイル問題の進展は期待しにくい。韓中大の金正奉(キム・ジョンボン)教授は「対話が希望通りにならなければ、追加核実験など強硬姿勢に転じる可能性もある」と指摘する。
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