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アベノミクス・バブルの崩壊 - 次は安倍晋三の支持率バブルの崩壊
アベノミクスのバブルが崩壊した。アベノミクスの経済がバブルであったことが判明した。マスコミは、現在の株暴落について「暴落」の語を用いて報道せず、眼前の事態がバブル崩壊であると正しく説明しない。「乱高下」だとか「調整局面」の語を使ってゴマカシている。だが、これはまぎれもなくバブル崩壊であり、この半年間の日本経済はバブルだった。バブルの意味を辞書で調べると、「資産価格が、投機によって実体経済から大幅にかけ離れて上昇する経済状況」などと書いてある。これでいいだろう。キーワードは投機だ。アベノミクスがバブルであることは、誰の目にも一目瞭然だった。マスコミだけがそれをバブルだと言わず、「期待先行分を<成長戦略>で中身を埋めれば本物だ」などと、愚にもつかない詭弁を言っていたのである。古舘伊知郎と大越健介。マスコミは政府のお先棒を担ぎ、アベノミクス景気をテレビで執拗に煽り、視聴者を株のゲームに誘導してきた。NHKのNW9は、「都内で開催されている株式投資セミナー」を幾度も冒頭のニュースで報じ、株で儲けろ、チャンスを逃すなと言わんばかりに欲望を刺激してきた。アベノミクスのバブルは、政府・日銀とマスコミが結託して生成させ増殖したバブルであり、マスコミはバブルの共犯者だ。マスコミの責任は重い。混乱と失敗の責任者だからこそ、マスコミは「バブル」や「バブル崩壊」の語を報道で一言も言わないのだ。


マスコミの、特に安倍晋三の息のかかったテレビの連中は、バブルという語を禁句にしている。バブルの語を視聴者の耳に触れさせたくなく、バブルの語で眼前の経済現象を意味づけさせたくないのだ。今回のバブルは13年前のITバブルに類似している。あのときも、本当に呆気なく株価が急落を始め、回復することなくずるずると底に沈んで行った。もう少しITバブルが続き、それが実体経済に好影響をもたらすかと期待したが、株価が2万円を超えたところで一瞬で崩落して元に戻らなかった。ただ、13年前のITバブルが現在のアベノミクス・バブルよりも健全だと感じるのは、当時は、マスコミも一般もそれを最初から「バブル」の表象で捉えていたことと、そこに金融だけでなくITという実体経済の契機があり、産業・経済・社会のトータルなイノベーションの幻想があったことだ。インターネットが人々の生活を変えるという夢があった。森喜朗の「it革命」の頃の話だが、アベノミクス・バブルに比べれば、ずっとまともなバブルだったと言える。今回のバブルは、実体経済のイノベーションに繋がる要素が何もなく、一から十まで虚構の金融操作によるもので、政府・日銀が主導し、マスコミが演出し、ヘッジファンドが仕掛けたものである。質が悪い。イカサマであることが歴然で、暴落(バブル崩壊)は最初から予測されたものだった。それが短期で終わることも、大半の者は気づいていただろう。

2月から4月にかけて株に走った素人の個人投資家たちは、それが危険なマヤカシであり、バブルであることを察知しつつ、機会に便乗して高値で売り抜けようと手持ちの預金を株に換えたのである。損を出す前に売り抜ける行動に出るのは当然のこと。これまで、1987-90年の平成バブル、1999-2000年のITバブル、2013年のアベノミクス・バブルと、日本経済における3度のバブルを目撃してきたが、今回の安倍晋三のバブルが最も嘘くさく、詐欺師臭の強い下卑たバブルで、マネーゲームに純化したバブルだった。増殖も早ければ破裂も早かった。崩壊が早かったのは、このバブルの起動役を買って出たヘッジファンドが、機先を制して俊敏に手仕舞いに出たからである。その投機行動の理由と動機を探れば、アベノミクス・バブルの化けの皮が剥がれる前に、先手を打って利益確定の動きに出たからという説明になる。マネーゲームは、先んじなければ人を制せず、意表を衝いて素早く動かなければならない。8000円から日本株を買い始めたヘッジファンドからすれば、2倍近い高値の1万5000円は十分なピークであり、それ以上欲張るのはリスクだと判断したのだろう。後からブームに便乗した日本の個人投資家は、普通に考えて、参院選まではバブルが続くだろうと見込んだはずだ。黒田東彦が「異次元の金融緩和」を発表してわずか1か月半、リーマンショック前の1万8000円にも届かず、アベノミクス・バブルは崩壊した。

そもそも、この「アベノミクス」なるバブル経済の政策的生成は、何を動機とし目的としたものだったか。大きく二つある。一つは、秋の消費税増税を断行するために、「好景気」の環境(空気)を醸成するためだ。もう一つは、7月の参院選で勝利するべく、安倍晋三の経済政策が奏功して経済が好転しているように演出するためである。「好景気」の訴求と説得に最も効果的な証拠は、株価が右肩上がりで上昇しているリアルな現実だ。安倍晋三とマスコミは、事あるごとに「株価を見ろ」と言い、アベノミクスを正当化してきた。安倍晋三とその一味は、ヘッジファンドを含めた欧米の投機筋を抱き込み、マスコミを抱き込み、3月以降は日銀を抱き込み、インタゲと金融緩和と為替操作で株価を吊り上げる策に出た。為替を80円から100円に振ったことは、FRB・米政府と裏で調整がついていることを意味する。策は巧く進み、万事が思惑どおり運び、株投機熱と高支持率を達成したが、株価上昇のスピードが速すぎたため、参院選前にバブル崩壊という想定外の事故を招いてしまった。今回のバブル崩壊は、いわゆる「成長戦略」とは特に関係がない。何も中身のない「成長戦略」に、投機筋が期待を持っていたということはなく、したがって失望もない。株の上昇や下落に「成長戦略」を絡ませて説明するのは、アベノミクスを宣伝してきたマスコミだけだ。その牽強付会を鵜呑みにしているのは、後から株バブルに参入した一部の日本の個人投資家だけである。

実体経済の成長や産業競争力の向上の裏づけのない、投機による資産価格の上昇は、バブルである。安倍晋三と浜田宏一にすれば、消費税を上げる秋まで、せめて参院選のある7月まで、株価上昇を続けたかっただろう。13年前のITバブル崩壊の経験則に照らせば、投機で膨脹した株バブルは、頂点をつけた後、上昇時よりも急角度で下落する。アベノミクスの株バブルは、3か月で崩壊して野田政権時の原状に回帰するのが道理だ。冷静に株価を観察すると、リーマンショック以降、日経平均は1万円の線に4年間張り付いてきた。その間、産業の国際競争力は弱くなることはあっても強くなることはなかった。国内経済は空洞化が進んで雇用が減少し、所得も消費も低迷し、格差構造は根づいて日本社会を芯から腐らせ、活力を根底から衰えさせてしまった。これほど円安が進んでいるのに、輸出は一向に増えず、貿易赤字が拡大する一方の脆弱な経済になっている。世界の中で日本企業の代名詞であり、製造業の中核だったエレクトロニクス・メーカーは、今やリストラばかりで、海外市場を完全に韓国メーカーに奪われた。再生の望みはない。そうした経済のファンダメンタルズの概況を見たとき、この4年間の株価が低すぎた(=過小評価されていた)という観測には説得力がないのだ。むしろ逆だろう。ITバブルが崩壊した後、株価はITバブルが増殖する以前よりも下落したことを考えると、アベノミクス・バブル崩壊の後、株価は8000円を割って6000円に落ちてもおかしくない。

この株価の暴落は、政治的に歓迎すべき事態である。これまでの安倍晋三の支持率は、経済の好転への期待に支えられたもので、経済政策(アベノミクス)が成功しているというマスコミの宣伝に媒介されたものだった。株価上昇のカーブが、アベノミクスの「正当性」の証明であり、マスコミが世論調査で出す「高支持率」の根拠となっていた。株高騰の現実が続くかぎり、安倍晋三への批判は効力を得られなかった。ようやく転機が到来した。株の暴落に続いて、次は安倍晋三の支持率を暴落させなくてはいけない。株価の上昇とアベノミクスの幻想がなければ、安倍晋三の支持率など、政権発足から半年で40%に落ちていただろう。1か月半後の参院選で自民を勝たせてはならず、改憲と集団的自衛権を阻止するためにも、1人区を接戦の状況に持ち込まなくてはいけない。本来、安倍晋三の政治家としての実力は、2007年の醜態を演じたときと同じである。目立ちたいだけの無能で軽薄な男であり、右翼に熱狂的に支持されているだけだ。副総裁の麻生太郞も、2009年のときから人間が変わったわけではない。普通にマスコミ記者が接していれば、ポンポンと失言が飛び出し、カネや人脈にまつわる疑惑情報が噴出する政治家である。これらの「自然な成り行き」が、半年間、アベノミクスが前面に出ることによって抑えられてきた。安倍晋三の60%の支持率は異常であり、言わば不自然に、人工的に維持されてきたものに他ならない。都議選で、維新の惨敗と共に、安倍自民の勢いを止める結果を出す必要がある。

それが、次の1か月の政治の前提となり、参院選で自民を敗北させる契機となる。


by thessalonike5 | 2013-06-06 23:30 | Trackback | Comments(0)
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