もちろん大学図書館や地方の中央図書館などが、たとえ通俗的であれ、希少本や絶版本を所蔵し、必要に応じて参照できるようにしておくことには意味があるだろう。だが、その他の公共図書館が大衆娯楽を、それも無料で提供する、などというのは、すくなくとも日本の社会現状では異常だ。公共ホールでの演劇やコンサートは、文化予算による軽減措置があってもなお、相当の金額を観客から徴収するのと同様、公共図書館の貸出もまた有料が当然。それも、この貸出価格は、大きなコスト(社会負荷)のある紙媒体である以上、情報のみを提供する電子書籍より低いようでは、経済的に「公正」ではない。
出版社が文庫化や電子化で苦労してコストを抑えた、一般でも買える程度の安価な本をタダで貸すこと、これこそが図書文化破壊の最大の元凶であることを、公共図書館はもっと自覚すべきだ。屁理屈をこね回す暇があるならば、大衆娯楽の文庫や新書、雑誌の類いからは予算を引き上げ、重要な希少本や絶版本の完備はもちろん、読書相談や図書紹介など、その本来の社会的な教養普及の役割にのみ集中特化し、一般書籍を読める読者層の知的育成を図ってこそ、紙媒体や電子書籍と共存共栄の図書文化の未来は開ける。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。
オフィシャルサイト http://www.hi-ho.ne.jp/sumioka-info/
生活の哲学 http://sumioka.doorblog.jp
ニュースの蜂 http://newsbee.doorblog.jp)
電子書籍の仇敵は図書館
純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 芸術計画学科 哲学教授
大阪芸術大学 芸術学部 芸術計画学科 哲学教授
純丘曜彰 教授博士/子ども・教育
/本をタダで貸す公共図書館は、ネット上のDVDのパクリと同じ。いくら著者や出版社が読者のためを考えて、あえて苦渋を飲んで文庫化や電子化でコストを抑えても、それを盗み、タダでみんなにばらまくやつらがいては、どうにもならない。/
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