報道発表資料 [2012年6月掲載]

SNSできっかけを作って「食事に行こう」などと若者を誘いだし、
高額なオイルマッサージの契約をさせていた
事業者に業務停止命令

平成24年6月7日
生活文化局

 本日、東京都は、SNS(会員制交流サイト)を利用して親しくなるきっかけを作り、20代の若者に「食事に行こう」などと勧誘目的を告げずに誘いだし、「肩こってるから、お店で無料でしてあげる」などと持ちかけてサロンに連れて行き、100万円以上のオイルマッサージの契約をさせていた事業者に対して、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条及び第47条の規定に基づき業務の一部を停止するよう命じました。
〔業務停止期間:訪問販売3か月、特定継続的役務提供6か月〕

1 事業者の概要

 事業者名 フランチェスカビアンキリミテッド
 サロン名 Pi Aledifreba Moga(注1)
 代表者名 代表取締役 岡田直樹
 店舗所在地 東京都港区南青山2-22-19三和青山ビル12階
 設立 平成15年12月17日
 業務内容 オイルマッサージ等の役務提供(訪問販売(アポイントメントセールス)、特定継続的役務提供(注2))
 売上高 約1億4480万円(平成23年3月〜平成24年2月)
 従業員数 7名(代表者含む)

※注1 平成22年12月1日から「Zahara」というサロン名で営業。平成23年7月頃から「Pi Aledifreba Moga」のサロン名で営業。
※注2 身体の美化等の目的をうたって体型を整えたり体重を減ずるための施術(いわゆるエステティックサービス)で、1月を超える期間にわたるサービス提供を行い、5万円を超える金額を支払うことを約する契約は、特定継続的役務提供契約として特定商取引法により規制対象とされています。

2 勧誘行為等の特徴

  1. 当該事業者の営業員が、SNSのミクシィを利用して、20代の女性に友達になりませんかという内容のメッセージを送って親しくなるきっかけを作り、数回のメッセージのやりとりをした後に「食事に行こう」等と昼食に誘う。
  2. カフェ等で、消費者の肩に触れて、「肩こってるから、お店で無料でしてあげる」等と言って、近くにある営業員が勤務しているサロンに連れて行く。
  3. 雑居ビルの中の店舗に来訪した消費者を個室に案内し、オイルマッサージをしながら、「骨盤の位置を変えるので、かなりウエストが細くなる」など施術の効果を強調し、オイルマッサージの契約をするように勧誘する。消費者が、施術料金をたずねると「正規の値段が20回で450万円」などと高額な金額を告げながら、親戚扱いにすれば安くできると持ちかける。
  4. 契約しない意思を示している消費者に長時間勧誘を続けたり、お金のない消費者に消費者金融での借入を執拗に勧める等して契約を締結させ、勧誘した当日に高額な契約代金全額や頭金を支払わせる。

3 業務の一部停止命令の内容

  1. 平成24年6月8日(命令の翌日)から平成24年9月7日までの間(3か月)、特定商取引法第2条第1項に規定する訪問販売の役務提供契約に係る次の行為を停止すること。
     (ア) 契約の締結について勧誘すること。
     (イ) 契約の申込みを受けること。
     (ウ) 契約を締結すること。
  2. 平成24年6月8日(命令の翌日)から平成24年12月7日までの間(6か月)、特定商取引法第41条第1項に規定する特定継続的役務提供に係る次の行為を停止すること。
     (ア) 契約の締結について勧誘すること。
     (イ) 契約の申し込みを受けること。
     (ウ) 契約を締結すること。

4 業務の一部停止命令の対象となる主な不適正な取引行為

不適正な取引行為 特定商取引法の条項
勧誘に先立って、「Sオイルセラピー」等と称するオイルマッサージの契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにせず、「食事に行こう」などと呼び出し、店舗近くのカフェ等で食事を取った後、消費者の肩に触れながら「肩こってるから、お店で無料でしてあげる」などと告げて、店舗に誘っていた。 法第3条
販売目的隠匿
勧誘目的であることを告げずに、SNS等で誘引した消費者に対し、公衆の出入りできない場所である雑居ビル12階にある店舗内の個室で、契約の締結について勧誘していた。 法第6条第4項
公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘
契約締結までに、契約の概要について記載した書面(概要書面)を消費者に交付していなかった。また、消費者に交付した概要書面には、役務提供事業者の名称、代表者名、電話番号が記載されていなかった。 法第42条第1項
概要書面不備・交付義務違反
(交付遅延)
契約を締結したときに、消費者に対して交付していた書面(契約書面)には、役務提供事業者の名称、代表者名、電話番号が記載されていなかった。また、担当者氏名欄に存在しない者の氏名を記載していた。 法第5条第1項
法第42条第2項
契約書面不備
勧誘に際して、特別な値引きでないにもかかわらず、「正規の値段が20回で450万円」と言われて断った消費者に対して「身内価格で150万でいいよ」と告げたり、「通常は1回17万円するけれど、母方のお姉さんということにすれば、1回5万円でいい」と告げるなど、あたかも特別に安値で提供できるかのように告げていた。 法第6条第1項
法第44条第1項
不実告知
消費者が、契約をしない意思を表明しているにもかかわらず、長時間にわたり契約の話を続けたり、借入れの意思を示していない消費者に対して、消費者金融等での借入を執拗に勧める等、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘していた。 法第7条第4号
省令第7条第1号
法第46条第3号
省令第39条第1号
迷惑勧誘
特定商取引法第45条の規定に基づき備え付けなければならない書類を、当該店舗に備え置いていなかった。 法第45条第1項
書類備付義務違反
※第3条〜第7条は訪問販売の違反、第42条〜第46条は特定継続的役務提供の違反である。

5 今後の対応

  業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の2の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。

(参考)東京都内における当該事業者に関する相談の概要(平成24年6月6日現在)

平均年齢 平均契約額 相談件数
22年度 23年度 24年度 合計
25.3歳 約102万円
(最高:200万円)
4件 14件 1件 19件

消費者へのアドバイス

 販売目的を隠して喫茶店や営業所に呼びだし、商品等を契約させる手口を「アポイントメントセールス」といいます。最近、SNSをきっかけに仲良くなった人から、「食事に行こう」等と誘われて会ったところ、高額な商品やサービスを契約させられたというトラブルが増えています。SNSを悪用する事業者もいますので、十分にご注意ください。

同様のトラブルでお困りの方は、下記にご相談下さい。

 東京都消費生活総合センター
 電話 03-3235-1155(相談専用電話)

※参考資料 相談事例

問い合わせ先
生活文化局消費生活部取引指導課
 電話 03-5388-3074