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水大事典

軟水、硬水、炭酸水

水の分類のひとつとして、「軟水」や「硬水」といった硬度による分類があります。この違いは水が通る土壌や環境によって生まれるので、地域によって特徴があります。ここでは、軟水と硬水の水が育つ環境や食文化の違いを具体的に見てみましょう。

1. 軟水と硬水

軟水と硬水の成分の違い

軟水と硬水の成分の違い

生活用水や飲料水をその成分で分類したときに「軟水」、「硬水」という言葉を使います。軟水・硬水の基準には「硬度」が用いられています。硬度とは、水に含まれるカルシウム濃度およびマグネシウム濃度で表される指標で、算出基準は国により異なります。日本では米国の基準が広く採用されており、「カルシウム濃度(ミリグラム/リットル)×2.5+マグネシウム濃度(ミリグラム/リットル)×4.1」で算出されます。硬度を分類する基準にはいろいろありますが、硬度100以下が「軟水」、101〜300は「中硬水」、300以上が「硬水」というのがおおよその目安になります。硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムは地下の岩石から時間をかけて溶け出したものです。従って、日本やイギリスなどの島国は滞留年数が短いため地下水の硬度は低くなる傾向があります(日本でも沖縄は硬水が多い)。一方で石灰岩地質が卓越し、滞留年数も長いヨーロッパ大陸の地下水は硬度が高い傾向があります。また、海外のミネラルウォーターには炭酸ガスを含むミネラルウォーターも少なくありません。
軟水は一般的にくせがないのでそのまま飲んでもおいしく、料理をするのにも適しています。硬水は、ミネラル成分が多く含まれますがくせがあり、そのまま料理に使うにはあまり適していません。中硬水は軟水と硬水の間の性質があります。

2. 地域による水の性質の違いと食文化

水のミネラル成分は、雨水や雪解け水が大地にしみこみ川となって流れていく過程で、周囲の地層などの成分が少しずつ溶け込んだものです。地域によって硬度に大きな差があるのは、大地を形成している物質が地域によって違い、水の滞留時間が異なるからだと考えられています。
たとえば欧米などに多く見られる石灰質の地層では、カルシウムを多く含む密度が高い地層を地下水が時間をかけて通り抜けます。地表の川の水も広い欧米の大地をゆっくりと流れて海にたどり着き、こうしてミネラルがたくさん溶け込んだ硬度の高い水となります。
日本では、雨が多く、密度の低くて透水性の高い火山性の地層が多いため、地下水の滞留時間が短くなります。また、川の水も土地が狭く傾斜が急なために、あっという間に海に流れ出てしまいます。こうしてミネラル分をあまり含まない軟水になるのです。

1)
軟水と食文化
日本のほとんどの地域の水は軟水です。軟水は一般的に料理に適しており、そのおかげで日本では水をふんだんに用いて素材そのものの味を生かす料理が発達しました。水を多く使う煮物、吸い物や、葉野菜をさっとゆでておいしく食べるという方法もあります。だしをとるのも軟水ならではの方法で、ご飯を炊くときも、米にたっぷり水を含ませて炊きあげます。
飲み物に関しても、日本人がよく飲む緑茶も水そのものの味が左右することもあります。茶道が発達した理由のひとつに軟水もあげられるでしょう。
地形と食(軟水)

地形と食(軟水)

2)
硬水と食文化
ヨーロッパの水はほとんどが硬水です。硬水はミネラル分が豊富に含まれていますが、料理に利用する場合は、そのミネラルの作用でたんぱく質が固まって旨み成分が溶け出さない場合もあります。
そのため、ヨーロッパでは水をそのまま利用しないで料理をする工夫が生まれました。野菜に熱を加えるときは野菜自体に含まれる水分を利用して蒸したり、オーブンで焼いたり、油脂を加えて煮込んだりする料理が発達しました。米は炒めたり蒸したり、水を使わずスープストックや牛乳で煮たりしますし、肉も油で炒めたりローストしたりすることが多いのです。また煮物はシチューのような煮込み料理が多く、水で直接煮込まずにスープストックを使い、ワインや生クリームを加えて調理します。
こうした背景からフランス料理のような料理文化が生まれたとも考えられます。
地形と食(硬水)

地形と食(硬水)

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