センター試験:見直し検討…到達度テストとの統合も
毎日新聞 2013年06月06日 10時57分(最終更新 06月06日 12時09分)
政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は6日、大学入試改革の議論を始めた。高校在学中に複数回受験でき、最高点を志願大学に提出して合否判断の材料とする「到達度テスト」の導入や現行の大学入試センター試験を到達度テストと統合するかどうかを検討する方向だ。大学生の学力低下対策や高校生の学習意欲維持を目指すが、定着している入試制度の急激な変更には高校や大学の抵抗感も大きく、曲折も予想される。
「到達度テスト」は年2、3回実施し、飛び級も想定して高校2年生から受験可能とする案が浮上している。受験生は最高点を出願時に提出し、各大学の判断で2次試験を課すこともできるようにする。類似制度は、年間7回実施され、何度でも受験可能なアメリカの進学適性テスト「SAT」などがある。
文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」は4月に答申した今後5年間の教育施策を示した「第2期教育振興基本計画」で、到達度テスト導入の検討を明記。先月出された自民党の教育再生実行本部の提言でも、複数回の到達度テストの実施が示されている。センター試験については、マークシート式による画一的な学力評価の問題など、見直しの必要性が指摘されていた。
しかし、実現には課題も多い。到達度テストで高校生の大学受験に対する負担感が軽減されるかどうかや複数回実施のための試験場運営、作問コストなどの多大な負担もある。また、センター試験以外にも、高校卒業程度認定試験(旧大検)など重複する現行制度との整理・統合も必要で、文科省内には「そこまでして新しいテストを始める意義は薄い」との意見もある。現在の入試制度をベースに各大学で多様化を図る方が現実的との見方も多い。【福田隆】