新井良は九回、右翼フェンス直撃の一打で三塁まで激走(撮影・森田達也)【拡大】
(セ・パ交流戦、阪神3x-2西武、3回戦、阪神2勝1敗、5日、倉敷)倉敷の夜空に舞い上がった白球は、右方向へと吹く風にも押され、どんどんと伸びていく。スタンドへ入れ! その願いこそ叶わなかったが、虎党が待ち望む劇的な瞬間を呼び込む一打となった。阪神・新井良が右翼フェンス直撃の三塁打だ。
「とりあえず冷静に塁に出ることを考えていた。コンパクト、コンパクトと自分に言い聞かせながら」
不振から、目覚めの予感が漂う一撃だ。2-2の九回の先頭。西武3番手・大石の6球目、外角低め144キロを逆らわず右方向へ弾き返した。打球が右翼・大崎の頭上を越えるのを確認すると、砂ぼこりを上げて三塁まで激走。代走・荒木を送られ、お役ご免となったが、西岡のサヨナラ打への流れを作り出した。
0-2の五回には16打席ぶりの安打となる左中間二塁打。今成の犠飛で本塁へ突入し、流れを変える1点を呼び込んだ。2本とも、チームにとって大きな今季11度目のマルチ安打となった。
「これまでチームに迷惑をかけた。それでも監督、チームのみんなも『大丈夫、がんばれ』と声をかけてくれていた」
感謝の気持ちが力となった。試合前には兄・貴浩と並んで早出特打。20分間バットを振り続け、和田監督からの熱血指導も受けた。左肩の開き、バットの出し方…。「監督に言われたフォーム的なこともあって、コンパクトを考えた」と将の助言も実を結んだ。