'13/6/5
原爆ドーム壁の耐震調査公開<動画あり>
世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)の耐震性を調べている広島市は4日、壁の一部を筒状に抜き取る作業を公開した。
建物の一部を抜き取る調査は1996年の世界遺産登録後で初めて。この日はドーム本体の南にあるれんが壁に、作業員が約10メートルの高さの足場から特殊なドリルを当て、直径20センチ、長さ60センチの円筒形にくりぬいた。
作業は3日に始まった。震度6弱の地震が起きた場合、揺れの負荷が集中するとみられる壁から15カ所を選定。24日まで試料を抜き取る作業を進める。
市は過去の保存工事で、壁のひび割れなどに補強のためのエポキシ樹脂を注入している。試料は日本建築総合試験所(大阪府吹田市)で分析。れんがの強度や樹脂の劣化状況などを調べる。それらのデータを基に、市は本格的な耐震補強工事が必要かどうかを本年度中に判断する。
分析を終えた試料は壁に埋め戻す。作業は7月26日まで。
【写真説明】原爆ドームの壁にドリルを当てる作業員
【写真説明】原爆ドームから抜き取った試料を手にする広島市職員。表面の白い筋は、市公園整備課によると「1915年の建設当時の接着用モルタル」という(撮影・福井宏史)