彼にいわせれば、まだまだ日本からの情報発信が足りていない。だから、自ら韓国でオタク文化の布教活動をしているという。日本政府に頼まれたわけでも、どこかからお金をもらっているわけでもなく、自発的に。
■「親善大使」へのサポートなし、顧客不在の議論
同じく超パーティーに出演したフランス人の「やまちゃん」も、母国で日本文化を広めている1人。フランス人2人組のユニット「ボカロジェンヌ」の1人で、12年から踊ってみた動画を投稿したり、ニコ生の生放送を続けたりしている。超会議の会場を歩いた時には握手と写真撮影の行列ができるほどの人気。その彼女は、独学で学んだ日本語で一生懸命こう話す。
「私はフランスにいるとき、毎日、みんなに日本のいいこといってる! みんなは日本のことが全然わかんないから、もっと日本のいいことを伝えたくて、ブログも作りました。ホントに、日本のぜんぶのカルチャーが好きだから、もっと伝えたい」
オタク文化のコアなファンである彼ら彼女らこそ、クールジャパンをさらに世界に広めてくれる「親善大使」。今後のことを聞くと、一様にこういう。「もっと日本に来たい。もっと日本で活躍したい」。本来、こうしたファンを日本からもっとサポートすべきだが、クールジャパンの議論は彼ら彼女らにいかに商品を買ってもらうかに終始している。
供給側の論理、顧客不在の議論。だからこそ、実態と政策は乖離していく。そのなかで、ニコ動は親善大使に敬意を払い、日本に呼んだ。超パーティーでは「国際交流」という枠を設け、重要なエンディングで外国人を前面に立たせた。狙いは何か。ドワンゴの執行役員で、超会議全体の統括プロデューサーを務める横澤大輔に聞くと、こう答えた。
「すごくシンプルで、感謝とリスペクト。海外で日本の動画を見てくれて、かつアップしてくれている。それが単純にうれしかった。だから日本に来てほしかったし、ステージに立ってほしかった。そして、その姿を日本のユーザーに見てほしかった。海外で受け入れてくれる国や人がいるということを、しっかり伝えたかった。ただそれだけです」
■クールジャパンではなく「ウォーム」ジャパン
政府のクールジャパン戦略をどう見ているか。あえて横澤に聞いてみた。
「すごい客観的ですよ。ああ、それがクールジャパンなんだ、って引いた目で見てる。日本て、そもそもかっこいい国じゃないんですよ。もっとウェットだし、有機的だし、人間味がある。泥臭くて、ものすごく細かいところにもこだわる。そういう文化のよさが今、ニコ動を通じて若者からでてきていると思うんです」
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